【高校野球】神奈川県立高校に潜んでいたドラフト候補 強豪校相手に14奪三振…菅高・岩瀬将
「勝てる投手」を目指す今夏
今春の地区予選は武相高、法政二高、川崎北高と同じ激戦ブロックに入った。菅高は3連敗。岩瀬は法政二高との初戦で完投(0対5)し、武相との第3戦は7回10失点でコールド敗退(3対10)を喫した。武相高は今春の県大会優勝校である。平林監督は補足する。 「岩瀬が先制本塁打を放ち、7回表のウチの攻撃を終え、3対5という展開でした。終盤の追い上げを期待していたところだったんですが、味方の守備の乱れもあって、7回裏に5失点で試合が終わってしまいました」 地区予選直前の練習試合等で、チーム事情で遊撃に入ることが多く、肘に負担がかかっていたという。新3年生5人、新2年生11人という限られたメンバーであり、併用も仕方ない。4月に新入生が3人入部し、春以降は投手一本に専念し、調整を進めている。 「クジで言い訳をするのが悔しくて……。自分がコンディションを整えて、しっかりした投球をすればいいだけです。武相にリベンジしたい。次ならば、抑える自信があります」 5月の練習試合では自己最速を143キロに更新。球速よりも、キレで勝負するタイプであり、スピードガン表示に意識はない。変化球は春の地区予選では未完成だったが、現在はスライダー、カーブ、カットボール、チェンジアップと手応え十分。捕手の小池は言う。 「かなり良くなっています。どの球種でもカウント、勝負球になる。(サインではなく)勝手に投げるのだけはやめてほしい(苦笑)」 今夏は「勝てる投手」を目指す。 「女子マネジャーを含めて3年生6人は結束力があり、岩瀬を盛り立てようという雰囲気をひしひしと感じます。意気に感じるタイプの岩瀬も、この仲間で勝ちたいと思っている。良い形で高校野球を終え、次のステージへと送り出したいと思っています」(平林監督) 岩瀬は進路についてこう語る。 「アメリカでの生活経験があり、高校2年の途中までは、卒業後は留学を考えていました。英語を聞き取ることはできるので、洋楽の映画を見るのも好きなんです。でも、野球をやると決めた以上、今はプロしか考えていないです。育成選手でもご縁があれば、プロの世界へ行きたい。これまで経験のない上のレベルで、1日も早く技術を磨きたいです。3人きょうだい(岩瀬は次男で兄、妹がいる)で迷惑をかけている。一人で育ててくれた母親のためにも、プロへ行って恩返ししたいです」 菅高のグラウンドは、サッカー部と共用で、遊撃手の定位置後方にはケージが並んでいる。投手が調整するブルペンに、屋根はない。かつてあった一塁側は学校側の都合で、使用できなくなった。1カ所ある三塁側のブルペンも、プレートが見えない。捕手の背後にもネットはない。限られた環境で、ベストを尽くす。すべては、気持ち次第である。岩瀬は集中力を高めて、投球練習を続けていた。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール