新潟のルヴァン杯4強入りに貢献した大学生DF稲村隼翔、プロの舞台で得続けている大きな学びと刺激
[9.8 ルヴァン杯準々決勝第2戦 町田 2-0 新潟 Gスタ] Jリーグの舞台に立つ大学生は悔しさをにじませた。アルビレックス新潟はルヴァンカップ準々決勝を2試合合計5-2で制し、9年ぶりにベスト4入り。だが、第2戦は0-2と敗戦を喫した。来季加入が内定している東洋大4年の特別指定DF稲村隼翔は「正直、新潟で出させてもらっているなかで、今までで一番出来はよくなかった」と思いを吐き出した。 【写真】今井翼さん&元日本代表MFのタコパに反響「え?自宅?」「めっちゃ美味しそう」 すでに第1戦で5-0と大勝を果たしていた新潟。FC町田ゼルビアのホームで第2戦に臨んだが、追いかけるJ1上位クラブの逆襲に遭った。前半41分には経験豊富なベテランFW中島裕希のシュートを食らう。PA横に入ったボールを中島にダイレクトで打たれた。「最初はクロスを予測していたが、ギャップに走られた」(稲村)。相手のシュートは自身の股下を通されてゴールへ。「股は絶対に通させてはいけない。そこは閉じないといけない」と悔しさを露わにした。 1失点目から4分後には追加点も許した。鮮やかなループシュートに新潟の守備陣もノーチャンスではあったが、「ペナ内の寄せの甘さが目立ってしまったゲーム。そこは誰とかではなく、近い選手がもっと寄せるというところを徹底したい」と2失点を振り返った。 来季加入が内定している稲村は、特別指定選手としてすでにJ1デビュー済み。ルヴァン杯ではフル出場で勝利に貢献し続けてきたが、着実に経験を積んだなかで今回の完敗。「ああいう失点はしないで来ていた。ああいうところを突き詰めてやってきているつもりではあるが、まだまだ甘さが出てしまった」。Jの舞台で浮かび上がった課題を飲み込んでいた。 松橋力蔵監督は“成長枠”としてではなく、戦力として大学生DFの起用を続ける。試合後には改めて稲村の良さを口にした。 「彼の左足のフィード能力、ドライブの能力、ボールをつける判断は高いと思っている。そういうなかで、前がかりの相手を一発でひっくり返すこともできる。左利きということで、自分と同サイドのラインで長いグラウンダーのパスでも相手の中盤のラインを越えたフィードを正確に出せる。そこだけでも前進する手間が省けるし、そこにいい関係ができるといいチャンスになる」 この試合で稲村は、実際に左サイドから縦にパスを出したり、逆に右サイドに大きく展開させる場面も目立った。ただ、この試合に関していえば、それが決定機につながることは少なかった。飲水タイムではDF千葉和彦からビルドアップで前に運ぶ意識についてアドバイスをもらっていたというが、稲村は「単純に自分の質のところでレベルが低かった」とまとめた。 昨年から特別指定選手としてチームの活動に参加。千葉やDF舞行龍ジェームズら経験豊富な選手たちから学ぶことは多い。 「短距離のパスだと千葉さんが、ロングフィードだと舞行龍さんが上手くて、盗める選手がたくさんいる。ここ2年間それが成長につながっている」。快く教えてくれるという先輩に躊躇せずアドバイスを求め、積極的に吸収中。ルヴァン杯はあと2つで優勝のところにたどり着いたが、東洋大の活動もあるため、今後新潟の活動に参加できるかはまだ未定だという。 「今のところは未定。大学の監督にも毎回快く出していただいているので、どちらにも感謝している。こっちに行きたいとは思っているけど……(笑)。大学も大事なので、そこはしっかり話し合っていい関係でいられれば」 プロの舞台で得られる刺激は大きく、だからこそ毎試合で危機感も覚える。「今日のようなプレーをしていたら信頼を失っていく。また一から信頼を積み重ねていければ」。大卒ルーキーの肩書がつく前に、さらなる存在感を身に付けるつもりだ。