大竹しのぶ 蜷川幸雄氏の稽古はスウェット姿で行ったら「お前、明日から来なくていいって言われます」
女優の大竹しのぶ(67)が18日放送のNHKラジオ第1「大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”」(水曜後9・05)に出演。16年に80歳で死去した演出家の蜷川幸雄氏との思い出を語った。 【写真】「マクベス」ニューヨーク公演初日終了後のパーティーで笑顔を見せる唐沢寿明、大竹しのぶ、蜷川幸雄氏 大竹は2001年の思い出として蜷川氏が演出のシェイクスピア作品の舞台「マクベス」に初出演したことを振り返った。マクベスを俳優の唐沢寿明、大竹はマクベス夫人を演じたもので「初めてのシェイクスピアでした。本当に楽しくて、シェイクスピアの台詞の言うことって、こんなに面白いんだと思って。だから皆、シェイクスピアをやりたいんだなって思うくらい、楽しくて楽しくてしょうがなかった」と語った。 また、稽古について、他の舞台の場合は「稽古場もよく皆、舞台の稽古の映像が流れていたりすると、スウェットでとか着ている人が多いと思うんですけど」と説明し、それに対し蜷川氏の場合は「スウェットなんかで稽古を、しかもシェイクスピアをやったら、“お前、明日から来なくていい”って言われます。その役に合った衣装をちゃんと探してこいと」と語った。 個人で用意するのには無理もあるため、「だからお稽古用の衣装部さんがいて、前の作品で使って、もう使わないロングドレスとか甲冑とか刀とか小道具を含めて、稽古初日から用意されています」とし、音楽や照明も稽古場ながら、初日から準備していたという。 大竹は「できる限りの完璧な形で稽古をするっていう趣旨、あり方だったので、すごくそれが私は楽しくて。毎日毎日、小学校に上がった時に、字を覚えたり、楽しいお友達ができたり、楽しい国語のお話を読んだりとか、知識が沢山入ってくる、あの幸せみたいな感じで、なんて楽しいんだろうって思って稽古場にいましたね。幸せでした」と振り返った。 また、「マクベス」出演で忘れられない思い出として、02年のニューヨーク、ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック(BAM)のオペラハウスでの公演を挙げた。東京で1カ月上演した後にニューヨークで演じたが、その舞台稽古の初日に蜷川氏が大竹の白いドレス姿を見て「ちょっと待って!その衣装ダメ!合わない。しのぶちゃん変えて!誰か探してきて。合わないんだよ、この劇場と衣装が。安っぽく見える!」を言い、稽古がストップ。 大竹は身長が1メートル58で、ニューヨークに自分に合うドレスなんて「あるわけないし…」と思っていたが、現地の衣装担当者が、隣のオペラハウスの倉庫から、何百年も前に使った白いアンティークのレースのドレスを探し出したという。大竹にサイズもピッタリ合い、それで演じたことも「すごい思い出に残る公演でした」と大竹。蜷川氏が死去してから8年たつが「蜷川さんにまた会いたくてたまらないなあと思ってしまいます。時々、蜷川さんがいたら、どんなことを私に注意してくれるかなあって、どんな風にカツを入れてくれるかなあって、いつもいつも思ったりしています。本当に」と懐かしそうに話していた。