地域猫とハムスターが長崎原爆死没者追悼平和祈念館の秘めた思い紹介 職員が来館者向け学習ノート製作
館内を静かに流れる水や差し込む光には意味がある。秘められた平和への祈りを感じてほしい-。そんな思いから、長崎原爆死没者追悼平和祈念館(長崎市平野町)の職員が、来館者向けの「平和学習ノート」を製作した。祈念館の所蔵品や利用方法を紹介するもので4月から無料で配布している。 【写真】平和学習ノートを製作した葉山さん(左)と木場さん 「平和学習ノート」は、A6サイズ、全7ページ。浦上地区の地域猫「ハク」と、仲良しのハムスターの「ハム」が、館内をクイズ形式で紹介する内容。ページをめくりながら館内を巡ると、地上の水盤から館内まで流れ続ける水は、水を求めながら亡くなった犠牲者への追悼の心を表していることや、地上から注ぐ光は死没者名簿を静かに照らしていることなどが分かる仕掛けになっている。 製作を発案したのは、同館職員の葉山沙代子さん(36)。原爆犠牲者を悼み恒久平和を願う祈りの場として設けられた同館だが、受付での業務中、「(どういう場所か)よく分からなかった」と、入館から数分後に出て行く観光客や子どもたちの姿をたびたび目にしたという。 「なんとなく静かできれいな場所、で終わらせてほしくない。館内の細部にまで込められた平和への思いを知ってほしい」。葉山さんは広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市)が作成した「学習ワークブック」を参考に、絵が得意な同僚の木場留美さん(58)と製作に着手した。 キャラクターのデザイン案を作った木場さんは、体型や毛並みの異なる三つの案から、子どもたちが親しみやすいデザインを採用した。「2匹は祈念館の案内人。利用者に愛され、祈念館に関心を持つきっかけになれば」と思いを語る。 館内には2匹のキャラクターがあしらわれた来館スタンプも設置した。今後は案内板やチラシなどでも登場する予定という。平和学習ノートは同館地下2階の受付前で配布している。 (竹添そら)