輪島朝市、公費解体進む 開始3カ月半、200棟超えるがれき搬出
●未申請の建物、2棟のみに 能登半島地震による大規模火災で焼け落ちた輪島市の「輪島朝市」周辺で、公費解体の対象となる249棟のうち、解体未申請の建物が2棟のみとなったことが18日、同市への取材で分かった。2棟のうち相続権利人がいない4階建てのビルは倒壊リスクが生じたため、8月下旬、代理人の申請を待たずに解体撤去された。公費解体の開始から3カ月半、200棟を超える建物のがれきが取り払われ、朝市周辺の景色は元日から徐々に変わってきている。 【写真】公費解体の着手から3カ月半が経ち、がれきがほぼ撤去された「輪島朝市」。中央にあった4階建てビルなど焼け残った建物も取り壊しが進む=18日午前10時、輪島市河井町(ドローンから) ●「骨組みビル」撤去 全半壊した建物を所有者に代わり自治体が取り壊す公費解体は、輪島朝市で6月5日に始まった。市によると、249棟のうち、コンクリートの基礎部を残してがれきの撤去を完了したのは16日時点で211棟。うち17棟は基礎部も取り払われた。 所有者が亡くなり、相続権利人も確認できない建物は2棟で、このうち一帯の建物のほとんどが焼け落ちた中、骨組みを残した4階建てビルは大火災の猛威を象徴する建物とされていた。 市は裁判所が選んだ管理人が代理で建物を処分できる仕組みを活用して解体する方針を決定。金沢地裁に管理人の選任を申し立てたが、ビルが徐々に傾斜したため裁判所と協議の上、管理人の申請を待たず緊急措置で取り壊した。 公費解体は原則、建物の所有権を持つ全員の同意が必要だが、法務省は5月末、朝市の264棟が建物としての価値がなくなったとして「滅失登記」をし、解体を進めやすいようにした。その後、解体対象は249棟に絞られた。 残る未申請の1棟は住宅で、基礎部にがれきが積まれた状態だという。市は相続権利人を探している。解体の遅れは復旧復興の遅れにつながり、市は「朝市周辺に無残な光景が広がったままでは住民の気持ちも復興も前に進まない」(担当者)として、解体作業を急ぐ。