「100円商店街」は15日で ── 年金支給日開催、シニアにやさしい四貫島方式が定着/大阪
今月15日、大阪市此花区の有力商店街で各店舗が自慢の商品を100円で提供する「100円商店街」が開かれ、格安商品の売り出しのほか、カラオケ大会などで終日にぎわった。「100円商店街」の開催は通算9回目で、毎回15日の開催には、シニア世代にやさしい理由があった。
年金引き出しのついでに買い物を
商店街は四貫島中央通商店街と四貫島本通り商店街。阪神なんば線千鳥橋駅前でVの字型に交差しており、消費者は自由に往来して買い物しやすい。野菜、鮮魚、精肉など生鮮食料品の店舗が多いのが特色で、「100円商店街」の開催は通算9回目だ。 他の地域では「100円商店街」は土曜日開催が多いが、四貫島の両商店街は曜日を特定せず、15日に開催してきた。中央通商店街の大西勝重理事長は「15日は年金支給日」と指摘する。「近くに金融機関があるため、高齢者の皆さんは15日、年金を受け取るために外出してくる。そこで、『100円商店街』を開いて、年金受け取りのついでに商店街に立ち寄って買い物してもらえるようにとの考えから、15日に実施している」と、話す。 確かに商店街を歩くと、張り出した「100円商店街」開催告知のチラシの上に、「12月15日(月)年金の日」などと、書き込んである。「『100円商店街』は15日」という情報が定着。外出を避けがちなシニアには、年金引き出しと買い物を同時に済ませられるため、外出を促す機会になっているようだ。
午後から人気イベントを展開
もうひとつの四貫島方式は、人気イベントを午後に組み込んでいること。中央通商店街は、箱ティッシュ5個セットが100円という超格安セールを午後2時から、本通り商店街は、カラオケ大会を午後3時から開催した。 カラオケ大会は、ゲスト歌手来演という豪華版。本通り商店街の甲山文博理事長によると、「午前中に買い物を済ませた後、もういちど午後のイベントを楽しむため、商店街に足を運んでいただけたらありがたい」からだ。「100円商店街」では午前中、目玉商品が早々と完売になってしまうケースが少なくないが、四貫島の両商店街は終日にぎわうための工夫を凝らす。 「せっかく来店していただいたのに、『もう売り切れました』では、お客さまに申し訳ない」と切り出すのは、中央通商店街の盛田政明事業部長。「格安で提供できる他の商品を探すなりして、お客様に満足して帰ってもらうのが、ほんまの商売人。どうすればお客さまに喜んでもらえるか。臨機応変、柔軟な対応ができる商店街が支持される」と、サービス強化に力をこめる。 ふくらんだ買い物袋を提げた女性は、100円セールのネギや京イモの他に、高級シイタケを買い込んだ。「100円セールは助かりますが、ものがいい食材は少々高くても値打ちがあるから、買います。寒いので今夜は温まる鍋にします」と、満足げな言葉を残して家路を急いだ。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)