「れっきとした油断ですよ」四国勢敗北の要因を、帝王・山田裕仁が徹底解説!/松山競輪G3決勝
新田選手が一枚も二枚も上で、それ以外は大混戦という出場メンバーでしたが、四国勢は最多となる4名が勝ち上がり。その先頭を任されたのは、ここが地元の真鍋智寛選手(121期=愛媛・25歳)で、いいスピードがあるしデキも上々でしたね。番手も同じく地元勢の吉田智哉選手(111期=愛媛・26歳)で、3番手に福島武士選手(96期=香川・38歳)。ライン最後尾を、原誠宏選手(91期=香川・39歳)が固めます。 北日本の先頭は新田選手で、番手を回るのは飯野祐太選手(90期=福島・39歳)。その後ろに宿口潤平選手(91期=埼玉・42歳)がついて、東の混成ラインを形成しました。そして、中国地区の片岡迪之選手(93期=岡山・37歳)は四国勢とは別線を選択。坂本健太郎選手(86期=福岡・44歳)がその後ろを回る西の混成タッグで、決勝戦に臨みます。片岡選手も、デキはけっして悪くないですよ。 4車結束の四国勢は、いかにも「前受けからの二段駆け」を狙ってきそうな。新田選手や片岡選手は、それをいかに阻むかがテーマとなります。また、格上である新田選手に立ち向かうために、真鍋選手と片岡選手には「新田選手を後方に置くか、内で詰まらせる」ような立ち回りが求められてくる。2車ラインで車番にも恵まれず、考えるべきことも多い片岡選手は、なかなかキツいレースとなりそうですね。
四国勢4車が前受け 新田祐大は中団5番手
それでは、決勝戦の回顧に入っていきましょう。レース開始を告げる号砲が鳴ると、1番車の福島選手と2番車の新田選手、8番車の吉田選手の3車が出ていきました。新田選手は、前受けからの組み立ても考えていたということでしょう。しかし、ここは最内の福島選手がスタートを取って、四国勢の前受けが確定。新田選手は中団5番手からで、片岡選手が後方8番手と、初手の並びは車番のとおりになりました。 青板(残り3周)周回の後半で、後方の片岡選手がゆっくりと浮上を開始。先頭の真鍋選手は先頭誘導員との車間をきって、いつでも突っ張れる態勢で待ち構えています。そして赤板(残り2周)通過に合わせ、片岡選手が前を斬りにいきますが、真鍋選手は想定どおり、突っ張って先頭を譲りません。四国勢の4車は外の片岡選手に意識が向いているためか、全員が外帯線の外を通っています。 この“油断”を見逃さなかったのが、四国勢の直後にいた新田選手。赤板を通過した直後、四国ライン最後尾の原選手が内を締めにくるよりも早く、瞬時の加速でその内に入り込みました。しかし、新田選手と連係する飯野選手と宿口選手は、この鋭い動きについていけません。新田選手はさらに前に出ますが、いまは原選手が内圏線と外帯線の間にいるので、後に続きたくとも続けない状況となります。