女優、栗山千明 新作舞台で“母になる”
楽しさは自分で作っていくもの
ファッションショーのモデルとしては身長が微妙だなと思っているとき、ちょうど映画「死国」のオーディションの話がきたという。 「『え~っ、お芝居なんてできないよ』と、いつものことなのですが、無理だ無理だと言いながらも、開き直れた強さみたいなのがあって。それで受かって、出演して、ものすごく達成感を抱いて。周りの人も喜んでくれて、もしこれを続けさせてもらえるんだったらやっていたいなって、どんどん思ってきたんです」 以後、女優としての活動が増えていくが、いまだ自分自身が女優に向いているとは思っていないのだとか。 「でも、他にできることもないなって思ったときに、自分がやらせてもらえて嬉しいっていうものはこれしかないなっていう感覚ですね。あとは、楽しさというものは自分で作っていくものだと思っているので、お仕事、お芝居に関しては、まずはやらせてもらえるかどうかってことが大きいかなって思います」
タランティーノ作品、重大さわからぬまま出演
そうは言っても、クエンティン・タランティーノ監督に見込まれて映画「キル・ビル」に出演するなど超一流の現場を踏んできた。女優としての自信に結びついてはいないのだろうか。 「誤解してるんですよ、皆さん。私、当時高校生だったんですけど、今と同じように映像とかに関する知識に乏しかったので、事の重大さがわかっていないままやらせていただいたんです。後から、すごい事をしたのかしらって思いましたけど、そのときは学校を休んでロスに行けるって、そういうレベルで。だから、緊張とは結び付かなかったというか」 今回の舞台、井上芳雄主演「十二番目の天使」(16日から日比谷シアタークリエ)はオグ・マンディーノによる同名のベストセラー小説を笹部博司の台本、鵜山仁の演出で舞台化する作品で、家族を亡くした男と秘密を抱えた少年の物語だが、栗山は二役を演じる。苦しい生活の中でも息子を温かく見守る母親ペギー役と、交通事故で他界したジョン(井上)の妻、サリー役だ。 「サリーはジョンをすごく支えてきた、精神的に引っ張って行けるような芯が強い女性だと思うんです。その力強さみたいなものを感じて欲しいです。ペギーは、母としての役割をまっとうしようとするその優しさだったり、苦しさだったりを投げかけることが出来るのかなと。私自身が両方演じるので、もちろん似てはいるんですけども、母としての立ち位置の違いみたいなものが表現出来たら面白いかなとは、思っています」 共演は他に六角精児、木野花、辻萬長ら実力派のキャストがそろう。栗山がどんな母親像を表現するか、期待したい。 (取材・文・写真:志和浩司)