《衆院選2024》茨城3区 葉梨康弘氏 ダブル逆風かわす
県内最多の5人が争う中、自民前職の葉梨康弘氏が新人4氏を破り、7回目の当選を果たした。 3人で争った前回。葉梨氏の得票率は50%を超え、次点の比例復活も許さなかったが、今回はかつてない危機感があった。自民の裏金問題に加え、法相在職時の失言で「ダブル逆風」(陣営関係者)。陣営の地方議員も「プラス要素は(非自民票が分散する)野党乱立ぐらいだ」とみていた。 前回は要請しなかった応援弁士にも頼った。石破茂首相、所属した旧岸田派の岸田文雄前首相、保守層に人気のある高市早苗前経済安全保障担当相が次々に応援に駆け付けた。 選挙戦では葉梨氏は持ち前の政策力を生かし、演説内容を場所ごとに変え、当該地域の政策を披露した。 得票数は減少、得票率も50%を割って次点との票差も縮まったが、野党乱立に助けられた形となった。 【略歴】党選挙対策委員長代理、当選7回元法相。農林水産副大臣、法務副大臣兼内閣府副大臣。東京大法学部卒。取手市桑原 ■葉梨氏「大逆風」7選 梶岡氏、再び敗れる 3区は自民前職の葉梨康弘氏(65)が7回目の当選を果たし、追い上げた立民新人、梶岡博樹氏(47)を引き離した。 午後11時過ぎ、取手市桑原の事務所で当選確実の報道が出ると、「やっと決まった」と安堵(あんど)の声が漏れた。3区は県内7選挙区で最後に当選確実が出た。支持者を前に、葉梨氏は目をうっすら赤くし、「大変な逆風下の選挙だった」と振り返った。 自民派閥の裏金問題に自身の法相在職時の失言という「ダブル逆風」(陣営関係者)で臨んだ選挙戦だった。それでも当初は楽観論もあった。野党4人の乱立で政権批判票が分散するとと予測され「野党票が割れ、大丈夫だろう」(陣営幹部)と余裕も見えた。 ただいざ選挙戦に突入すると、梶岡氏との接戦となった。終盤には自民の「裏金非公認2千万円」問題が追い打ちした。 葉梨氏は裏金問題について「皆さんが疑問に思っている自民党自身をしっかりと変えていかなくてはいけない。信頼に足ることができる自民党につくり変えなくてはいけない」と改めて決意を示した。その上で「選挙で訴えた、具体的な政策や構想を実現に結び付けるために全身全霊を尽くしたい」と力を込めた。 2度目の挑戦で再び葉梨氏に敗れた梶岡氏。小選挙区での敗戦が伝わると、牛久市栄町の選挙事務所に集まった支援者らは落胆の表情を浮かべた。梶岡氏は「力不足で当選がかなわず深くおわび申し上げる」と敗戦の弁。一方で「最高のご支援をいただいた。本当にありがとうございます」と支援者らと握手を交わした。
茨城新聞社