妊娠が確認されたマルミミゾウのメイ

　絶滅の恐れがあるマルミミゾウを国内で唯一飼育している広島市安佐動物公園（広島市安佐北区）は21日、雌メイが妊娠したと発表した。14日のエコー検査で確認した。マルミミゾウの妊娠を確認したのは国内で初めて。 【画像】妊娠したマルミミゾウのメイ 　メイは推定25歳。2歳の頃に西アフリカから来園した。発情周期に合わせて変動するホルモン値が1月以降、高い値を示していたため、状態を観察しながら定期的に血液検査を続けてきた。雄のダイ（推定25歳）と初めて交尾した昨年12月に着床したとみられる。ゾウの飼育を担当する栗原龍太さん（56）によると、ここ最近メイの乳房に張りが見られるという。 　マルミミゾウはアフリカ西部や中部の森林地帯に生息する。象牙目当ての密猟や環境破壊の影響で個体数が減り、絶滅の恐れがある。国際自然保護連合（IUCN）のレッドリストでは、リスクの高い「深刻な危機」に分類されている。 　繁殖のため2022年6月、ダイが秋吉台サファリランド（山口県美祢市）から来園。普段は飼育舎が別で、年数回訪れるメイの発情期に合わせて一定期間同じ敷地内で過ごす「同居」を22年11月から繰り返してきた。物怖じしない性格のメイと、慎重な性格のダイ。飼育員たちは「相性は悪くない」と2頭を見守ってきた。 　ゾウの妊娠期間は20～22カ月とされ、出産予定日は来年8～10月ごろという。安佐動物公園の阿部勝彦園長（57）は「待ちに待った妊娠で、職員一同本当に喜んでいる。無事生まれるよう気を引き締めていきたい」と意気込む。