鍵がかかっているはずのドアから、ジャニー喜多川氏が入ってきた…13歳で性被害「忘れようとした」過去を告白し、乗り越えるまで 「ジャニーズ性加害問題」(1)
ダンサーで俳優の橋田康さん(37)は1998年、12歳でジャニーズ事務所のオーディションを受けた。1年ほどたった頃、コンサートの出演でホテルに宿泊することになった。眠りについた深夜、鍵のかかっていたはずの扉から入ってきたのが、ジャニーズ事務所の前社長、故ジャニー喜多川氏だった。橋田さんの足元からベッドに潜り込み、マッサージが始まった―。 喜多川氏の性加害について、ジャニーズ事務所は5月、めいに当たる藤島ジュリー景子社長が被害者やファンらに謝罪する動画と文書を発表した。ただ、事実認定については当事者が故人であることを理由に「確認できない」と避けている。実態はどうだったのか。(共同通信=前山千尋) ※ジャニーズ性加害問題については、記者が音声でも解説しています。以下のリンクから共同通信Podcast「きくリポ」をお聞きください。https://omny.fm/shows/news-2/24-jr
▽先輩に打ち明けたら「おめでとう」と言われ… 初めて被害に遭った当時、橋田さんは13歳。性交渉の知識もなく、何が起きたか分からず混乱していた。ただ、性器をもてあそばれた、湿った感触を覚えている。終始無言だった行為が終わり、喜多川氏が部屋からいなくなると、バスルームに駆け込んだ。体を洗い流しているうちに涙があふれ出した。 翌朝、部屋にやってきた喜多川氏からバスルームで1万円を渡された。「会話もなく、これって感じで。自分の価値が1万円なんだなってショックでしたね」 その日、舞台裏で先輩に、喜多川氏が部屋に来たと打ち明けた。返ってきた言葉は「おめでとう」。困惑したが「これから人前で、笑顔で振る舞わなきゃいけないから元気づけようとしてくれたのかな」。落ち込む気持ちを何とか前向きにしたかった。 事務所に在籍したのは6、7年間。被害に遭ったのはこの時と合わせて2回だ。最初の被害の後は、身を守るために「試行錯誤」した。