生の鶏肉などに注意を 「カンピロバクター食中毒」長野で相次ぐ
長野県内で生の鶏肉などによるカンピロバクター食中毒が8月に3件連続発生し、県は6日、「カンピロバクター食中毒注意報」を全県に出しました。鶏レバーやささみの刺し身など半生や加熱不足の鶏肉料理から多発し、全国では毎年2000人以上の患者が発生。厚労省や県は「新鮮だから安全、ということはない」と強調しています。 【写真】食中毒注意報が相次ぐ「怪しい食べ物は思い切って捨てる」
鶏、牛、豚などの腸管内に存在
長野県のカンピロバクター食中毒は8月21日(患者数3人)、同26日(同4人)、同28日(同14人)と8月中に3件(患者数計21人)相次ぎました。いずれも長野市内の飲食店の食事が原因です。 県によるとカンピロバクターは鶏、牛、豚などの腸管内に存在し、ほかの菌に比べて少量でも食中毒を起こします。潜伏期間は1~7日と長く、下痢、腹痛、発熱、頭痛、吐き気などの症状があります。 感染して数週間後に手足のまひ、顔面神経まひ、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症することもあります。
新鮮さと安全性は関係がない
カンピロバクター食中毒は細菌性食中毒の年間発生件数の60%を占める食中毒ワースト1。原因食品は加熱不足の食肉が多く、特に鶏肉です。厚労省によると、食鳥処理後の鶏肉からカンピロバクターが見つかる割合は67・4%にも上っており、「新鮮さと安全は関係がない」と指摘。 鶏レバーやささみなどの刺し身、鶏肉のたたきなどからの発生を避けるため県は「鶏肉などの調理では肉の中心部まで十分に加熱を」と呼び掛けています。 さらに細菌の拡散を避けるための注意点として (1)生肉を扱った後は十分に手を洗ってから他の食品を取り扱う。 (2)食肉は他の食品と調理器具や容器を分けて処理、保管する。 (3)生肉を扱ったまな板、包丁などは使用後にきちんと洗浄、消毒する。 (4)焼肉などの場合は、生肉用の取り箸と食べるための箸を使い分ける。 などを挙げています。
2015年の全国の患者数は2089人
飲食店などに対しては、生や半生状態で提供する鶏肉などのメニューの見直しも促しています。厚労省は代表的な原因食品として鳥刺し、鶏たたき、鶏わさ、加熱不十分な焼き鳥、白レバー串などを挙げて提供者と消費者の注意を呼び掛けています。 厚労省によると2015年のカンピロバクター食中毒の発生は全国で318件、患者は2089人。例年200~500件、2000人前後の発生状況です。2015年には生や加熱不十分な鶏肉を提供して食中毒が発生した飲食店など91件が全国で営業禁止や停止の処分を受けました。
----------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説