「Google Agentspace」がデータサイロをデータレイクに--AIで企業内の情報活用を円滑化
「Google検索」は、現代のインターネットの本質的特徴を示していると言えるほどに、極めて貴重なリソースだ。しかし、誰もが経験しているように、いつも適切な結果が得られるとは限らない。多数の選択肢が提示されて、それを深く掘り下げることはできるが、答えが見つからずに探し続けるということがよくある。 そのような結果になる原因の1つは、検索エンジンが巧みに利用され、ウェブサイト運営者の検索エンジン最適化(SEO)によって関連性の低い結果が表示されることだ。 満足のいく答えが返ってこないのは、その情報がオンラインにないことや、検索文字列が不正確または無効であることが原因という場合もある。また、返される答えに満足できない原因としては、データが企業のファイアウォールによってロックされているということも考えられる。 Googleはこの最後の問題を、企業向けのAIエージェントサービス「Google Agentspace」によって解決しようとしている。米国時間12月13日のブログ投稿で、Google Cloud AIのバイスプレジデント(VP) 兼 ゼネラルマネージャーのSaurabh Tiwary氏がAgentspaceについて次のように説明した。「データの保存場所にかかわらず、『Gemini』の高度な推論、Googleの検索機能および企業のデータを活用して、従業員が企業の専門知識にアクセスできるよう設計されている」 このサービスの中核的な構成要素、すなわちAI、検索、データを詳しく見ていこう。 まずはデータからだ。単なるデータではない、とTiwary氏は語る。「ホストされている場所に関係なく」利用できるデータだ。このアプローチにより、Googleの強力な検索および取得ツールを使用して、さまざまなサイロを調べることが可能になる。Googleは「Confluence」「Googleドライブ」「Jira」「Microsoft SharePoint」「ServiceNow」に言及したが、さらに増える可能性を示唆している。 この機能をGoogle検索と組み合わせると、データサイロが事実上データレイクになり、情報を最初にどこで取得して保存したかに関係なく、その情報に社内のあらゆる場所からアクセスし、部門横断的に使用することができる。 もちろん、セキュリティ面での配慮はある。AgentspaceはGoogleのセキュア・バイ・デザイン・アーキテクチャーを採用しており、データとそれを使用できるユーザーをきめ細かく制御することができる。Googleによると、Agentspaceには次のようなIT制御が適用されるという。 ロールベースのアクセス制御(RBAC):オペレーターがユーザーの役割に基づいて権限を階層化できる 「VPC Service Controls」:仮想プライベートクラウド内でデータアクセス制御機能を提供 IDおよびアクセス管理(IAM)統合:多くの場合、レコードまたはフィールドレベルで、きめ細かい権限によるID管理とアクセスを提供 顧客管理の暗号鍵(CMEK):Googleではなく、顧客が暗号化キーを管理できる つまり、複数の企業インフラやクラウドインフラにホストされるデータを、Googleの強力な検索機能によってインデックス化して取得できるということだ。そこへさらにAIエージェントが加わる。