「クラミジア」は市販薬で治せない? クラミジア治療で服用する薬について薬剤師が解説
性行為によって罹患する可能性がある性感染症のひとつである「クラミジア」。感染部位の粘膜や分泌物に触れることで、気づかないうちに感染する・させる可能性があります。症状が現れたときに慌てなくて済むよう、クラミジアとその治療薬について薬剤師の増田さんに解説してもらいました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
そもそもクラミジアとはどのような病気なのか 何が原因で発症する?
編集部: 近年話題に挙がっているクラミジアとはどのような病気ですか? 増田さん: クラミジアとは細菌の一種で、感染を拡大させていくという特徴を持ちます。感染が拡大するまでは初期症状がないため、知らないうちにほかの人へ感染し、病気が進行してしまう怖い病気です。 編集部: 細菌感染というと、飛沫や接触で感染するイメージがありますが、クラミジアの場合は何が原因なのでしょうか? 増田さん: クラミジア感染の場合は主に性行為を介して感染します。感染すると性器、のど、目、肺など幅広く症状が出ます。ただ、先ほどお話したように症状が出てくるまでに時間があるため、気が付いたときにはほかの人に感染させてしまっている場合もあります。ですので、感染が分かった段階でいつ、誰との性行為で感染したかわかるようにしておくことも重要です。 編集部: クラミジアのような感染症を懸念して、性行為に抵抗を感じる方もいるかと思います。 増田さん: しっかりと対策をして性行為をすれば予防ができますし、治療薬もちゃんとあるので安心してください。
クラミジアは市販薬で治せない? クラミジア治療で使用する3種類の薬の特徴を解説
編集部: クラミジアを治療するための市販薬はありますか? 増田さん: 残念ながら、クラミジアに効く市販薬はありません。なぜなら、クラミジア感染症は細菌感染になるため、抗生物質を使う必要があるためです。抗生物質は市販で売っていないため、病院で処方してもらう必要があります。 編集部: では病院で治療に使われている薬について教えてください。 増田さん: 病院で処方されるものは抗生物質・抗菌薬に分類されます。具体的には、「マクロライド系・テトラサイクリン系」という、クラミジアを構成するタンパク質の合成を阻害する薬があります。 編集部: ほかには何がありますか? 増田さん: ほかには「ニューキノロン系」の薬があります。これは、生物に必要な核酸(DNA・RNA)の合成を止め、結果的に生物の体を作れなくさせる薬です。DNAはタンパクを作り出す設計図のようなものなので、これがなければ細菌が死んでしまうということです。 編集部: 私たちの体に影響はありませんか? 増田さん: 大丈夫です。細菌にしか存在しないタンパク質、核酸に働きかけるので人体に対しては害を及ぼしません。ただし、体に良い細菌(腸内細菌など)も死滅させてしまう可能性があり、下痢や腹痛などの消化器症状が現れることがあります。