熊本地震から8年、再開した熊本競輪場 地元ファンでにぎわい「ファンに愛される公営競技の姿」映し出す
7月20日、平成28年熊本地震により被災し本場開催を中止していた熊本競輪場がついに再開した。実に8年ぶりとなる本場開催には、この日を待ちわびた地元ファンが詰めかけていた。編集部は再開初日の熊本競輪場を取材した。(取材・構成=netkeirin編集部)
『Re:スタート』待ちわびたファンの姿
朝9時。すでに熊本競輪場の正門前には、今か今かと開門の時を待つ競輪ファンたちの姿があった。 2016年4月に街を襲った熊本地震。熊本競輪場はバンクがひび割れ、施設の天井や壁が崩落するなどの被害を受けた。競馬などほかの公営競技がないことなどからもともと“競輪熱”が高い地域であったが、この地震で日常は奪われた。 『熊本競輪 Re:スタート』を待ちわびたファンは朝早くから競輪場に集まり、再開セレモニーでは市長らの挨拶に「再開ありがとう!」という声も飛び交った。この日は最高気温35度の猛暑日だったにも関わらず、メインレースに近づくに連れて観衆は増え続け、入場者数は約3,000名にのぼったという。
入場口ではトップ戦線で活躍する伊藤旭や、ガールズ西島叶子ら現役選手がうちわを配り出迎えた。ファンに「頑張れよ!」と声をかけられ満面の笑顔で応える姿が印象的で、選手もファンも同じ思いでこの日を迎えたことが伝わってきた。
再建されたメインスタンド
地震で窓ガラスが割れ、天井が崩れてしまったバックスタンドは取り壊され、メインスタンドは柱等の躯体のみを残し大規模改修を行い、管理棟は被災前のものを残す形で再建された。地震でひび割れた走路も、美しい姿でお目見えした。 メインスタンド1階と2階は無料エリアで、投票所やトイレ、一休みできるベンチなどがある。ピカピカの新しいモニターで各場のレースが放映され、地元選手を紹介するパネルや競技用自転車の展示もされていた。猛暑となったこの日は冷房の効いた屋内も、涼を求める多くの人であふれていた。 メインスタンド2階とつながる無料観覧席の前方1列はバンクにほど近く、走行音や選手の息づかいまで聞こえてきそうだ。ゆったりした間隔で並んだ椅子には背もたれがあり、リラックスして観戦できるのが嬉しい。 後方は通路を挟み4段の観客席がつらなる。最後列は立ち見が可能なほか、観客席の両サイドや1階にも手すりのついた観覧エリアがあり、さまざまな角度からレースを楽しめるようになっている。