『虎に翼』で“最強の愛され男”を演じる31歳俳優。人気を爆上がりさせた“2つの条件”は
愛おしすぎるぜ! #俺たちの轟
「#俺たちの○○」タグがつくもう1つの条件は、俳優がそのキャラクターを“好感度高く演じている”ことにあると思います。 菅波・轟、両名ともに脚本家によるキャラクター設計・セリフ・構成の秀逸さは大前提としてありますが、「#俺たちの○○」タグがつくには俳優の力が必要不可欠といえるでしょう。菅波を演じた坂口は、理屈っぽさが嫌味にならない絶妙な調整力と、繊細な表情変化と仕草をもって、菅波の“不器用さ”からくるキャラクターの愛らしさを引き出しました。轟を演じる戸塚においても、見た目の無骨さだけでなく、声のトーンや表情で、轟ならではの“正義感”を細やかに表現しています。
轟の“寄り添い”が素晴らしかったシーン
前述の花岡とのシーンでは、特に演技の緩急が素晴らしかった。はじめ轟は「(寅子へ婚約について)もっと誠意のある伝え方があっただろう。俺の知るお前は、もっと優しい男のはずだ」と冷静に諭します。 しかし花岡が寅子の将来を考えて、違う女性・奈津子を選んだことを聞くと「花岡ぁー! それで猪爪(寅子)に何も言わずに婚約を?! きちんと話もせずにか?!」と激昂。その後「それで本当に幸せになれるのか? お前がやっていることは、猪爪も奈津子さんも侮辱する行為なんじゃないのか」と、花岡自身にも誠実に寄り添いました。 その表情からは、自分の正義感に反する花岡への憤りだけでなく、長い時間積み上げてきた花岡に対する友愛の情も感じました。下手をすると暑苦しく自分本位に見えてもおかしくないキャラクターの轟。脚本や演出の力もさることながら、ここまで好感度を爆上げしているのは、戸塚の功績といえるでしょう。
コメディセンス抜群! 戸塚が演じた“クセ強”キャラたち
これまでにも数多くのドラマで“クセ強”キャラを演じてきた戸塚。『親バカ青春白書』(2020年、日本テレビ系)ではYouTuber大学生、『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』(2021年、同)での主人公のヤンキー友だち、そして『スーパーのカゴの中身が気になる私』(2023年、中京テレビ)では、売れない俳優をしながらスーパーでアルバイトをする主人公・十文字雄三役。さらに、植田まさし氏の漫画『かりあげクン』が初の実写ドラマ化(2022年、BS松竹東急)した際には主人公・かりあげ正太を演じるなど、まさにキャラの強い役を担ってきました。 なかでも、多くのドラマファンに注目されたのは『だが、情熱はある』(2023年、日本テレビ系)におけるオードリー・春日俊彰の役ではないでしょうか。 そもそも春日俊彰その人が、独特な風貌や代表ギャグ「トゥース!」など、インパクトの強いキャラクター。実在の“クセ強”キャラを演じるのは容易なことではないはずです。しかし戸塚は作品のなかで、「まさに、春日!」として存在していました。顔も体型も決して似てはいませんが、春日氏ご本人のもつ佇まいや在り方をリアルに再現しているのです。それは、戸塚の高い演技力と圧倒的コメディセンスがあってこそ!『虎に翼』の轟役でもその力は大いに発揮されており、登場回が楽しみでなりません。お願いだから退場しないで~!!