韓国・弾劾回避も政権運営は困難…早期の大統領選に現実味
【12月08日 KOREA WAVE】韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は国会の弾劾訴追案が不成立となったことで、韓国史上2人目の「弾劾された大統領」という汚名は免れた。しかし、国家機能の麻痺を避けることは難しいとの見方が広がっている。 政界関係者によると、ユン大統領は3日の「非常戒厳令」宣言以降、支持率が10%台前半まで落ち込み、最大野党「共に民主党」からの内乱罪の指摘、さらには与党「国民の力」内の親尹派を中心とした反発や国民の厳しい視線を受け、正常な国政運営はもはや不可能との声が強まっている。 憲法上、ユン大統領は行政府の最高指揮権、法令執行権、国軍統帥権、公務員任免権などを保持している。しかし、すでに内閣は総辞職の意向を表明し、大統領秘書室長をはじめとする側近たちも辞意を示している。加えて、軍も二度目の非常戒厳令の発令には従わない意向を示しており、ユン大統領の国軍統帥権は事実上の空洞化が進んでいる。 ユン大統領自身も、8日午前の国民向け談話で、任期を含む今後の国政運営を党に委ねると述べ、事実上、第一線から退くことを示唆した。 たとえユン大統領の代わりにハン・ドクス(韓悳洙)首相が職務を代行したとしても、憲法上の最終的な決定権はユン大統領にあり、実質的な解決策にはならないと指摘されている。責任首相制や超党派による中立内閣の設立といった案も浮上しているが、これらはいずれも法的根拠に欠けるうえ、国軍統帥権の移譲といった憲法上の制約により実現の可能性は低い。 さらに、与野党の対立が激化している現状では、両党間の合意形成は難しいとみられている。ユン大統領の弾劾をめぐり、与野党の立場は大きく分かれており、政局の混迷は続くと予測されている。 政界関係者や専門家の一部には、早期の大統領選が政局正常化の唯一の手段であるとの主張も出ている。共に民主党が追加の弾劾訴追案を発議し、さらに国民の不満が拡大すれば、内政だけでなく外交にも深刻な影響が及ぶ可能性がある。 明知大学のシン・ユル教授は「弾劾が必ずしも最良の選択肢ではないが、現状では弾劾を回避することは難しい」と述べ、早期の政治決着の必要性を指摘した。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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