トムス GR86 TSは「一緒に育てていく」スポーツカー いい意味でオタッキーなのだ(小沢コージ)
GR86の走りを掘り下げたくなる
まずクラッチペダルが普通に軽く、エンジンをかけると専用マフラーが乾いた音を響かせるのに気付く。走り出すと確実に足周りが硬く、それでいてステアリングフィールが格段にヴィヴィッドになっているのがわかる。普段手袋を付けてしていた作業を、いきなり素手で行うような違いだ。あれ、86ってホントはこんなにダイレクトだったんだ? と思う。 同時にボディ各部の性能に色々気付いていく。まずステアリングの反応に敏感になり、タイヤグリップが良くなった分、もう少しボディ剛性が高いといいなと思う。凸凹路面で多少よじれる気がするのだ。さらにコーナーをハイスピードで走るとカラダが少しズレるのでシートは本格的なバケットタイプだといいなと思う。また高速を飛ばすともっとパワーがあればいいなと思う。 この辺りの要求は人それぞれだと思うが、GR86の本来のポテンシャルが分かるようになり、もっと攻めたくなるのだ。 カレーやラーメンにハマり、いろんな店を探究したくなるキモチというか、好きな小説家にハマって続編が読みたくなるようというか、GR86の走りを掘り下げたくなる。それがトムス TSの凄いところなのだ。 価格は600万円からと正直甘くない。ただし欧米スポーツカーにハマることを考えれば高くもない? ってか(笑) (小沢コージ/自動車ジャーナリスト)