漬物の魅力、若者に届け 庄内町の老舗製造社、芸工大生とタッグ
庄内町の老舗漬物製造販売マルハチは、東北芸術工科大(山形市)の学生らと協力し、自社商品を売り込む取り組みを行っている。若者の視点を取り入れることで、若年層を引き付けるのが狙いだ。阿部武秀社長は「地元の野菜で作った漬物の魅力を若い人にも知ってほしい」と語る。 マルハチは1914(大正3)年に創業。みそ製造から始まり、現在は漬物製造を手掛けている。庄内地域で取れた野菜を中心に「山形のだし」や「若もぎ小茄子(こなす)」など、保存料や合成着色料を使わず健康に留意した商品を生み出してきた。一方、購入者の大半を40~60代が占める。20~30代が少なく、商品によっては3割に満たないという。 同社は「漬物売り場に若者を呼び込もう」と、消費行動やマーケティングを研究する同大企画構想学科の緑川岳志教授に協力を仰いだ。5月から販売促進策の検討を始め、7月に阿部社長が同社の現状と課題について学生に講義を行った。
10月25、26日には、緑川教授とゼミ生6人が、同社の契約農地や同町廿六木(とどろき)の本社工場を訪問。原材料が商品として出荷されるまでの工程を見学したほか、阿部社長や社員らと共に、商品のコンセプトや容器のデザイン、購入時の課題などについて、2時間以上かけて意見を交わした。学生たちは熱心にメモを取りながら、アイデアを出し合った。 協議内容は大学に持ち帰って再考し、11月にマーケティング案を同社に発表するという。ゼミ生で同町出身の3年佐藤稜太朗さん(21)は「若い人と漬物の接点は少ないと感じる。幅広い世代に魅力を知ってもらえるようなアプローチの仕方を考えていきたい」と話した。