ドコモ、アリーナ運営を全国展開へ…「国立競技場がNTTとしてのショーケースになる」
NTTドコモは、スタジアムやアリーナの施設運営ビジネスを強化し、全国展開する方針だ。政令指定都市を中心に最新の通信技術を備えた拠点を増やし、スポーツや音楽イベント興行といったエンターテインメント事業を新たな収益源に育てる狙いがある。 【経緯】国立競技場の整備と民間事業化
ドコモは、有明アリーナ(東京都)や来年オープンするIGアリーナ(名古屋市)の運営に携わっている。今月、国立競技場(東京都)の民営化に向けて優先交渉権を獲得した。エンタメ事業担当の桜井稚子執行役員は、読売新聞の取材に「国立競技場はNTTとしてのショーケースとなる。最先端技術と顧客が感動するサービスを入れていく」と強調し、全国展開を進める方針を明らかにした。
国立競技場については、改修でVIPルームを現在の15室から75室に増やし、入場前の選手を間近で見られる特別席を新設する。年間約120のイベントを想定し、音楽イベントは4月と8月に集中させる。グラウンドの芝生の張り替え前に開催することで、スポーツ興行への影響を避ける。
従来のアリーナ運営は、施設の貸し出しによる収益が中心だった。ドコモは、イベントの開催や映像配信などでも稼ぐ戦略で、複数の拠点を最新の映像技術でつないだ新たな観戦スタイルも想定する。VR(仮想現実)でのイベント運営のほか、海外などにコンテンツを販売する権利ビジネスも視野に入れる。
また、エンタメ分野で通信やVRなど先端技術の活用に向けた研究開発も強化する。まず、有明アリーナについて、仮想空間に施設を詳細に再現する技術「デジタルツイン」の活用を探る。ドコモの子会社「NTTドコモ・スタジオ&ライブ」が26日、映像制作大手イマジカグループと連携協定を結び、舞台のデジタル化や次世代ライブなどを検討していく方向だ。