丹念な肉体改造とアクション習得…山崎賢人が見せる本気 「キングダム」シリーズを経てアジアを代表する俳優へ
7月12日(金)に最新主演映画「キングダム 大将軍の帰還」が劇場公開される山崎賢人。同作は、2019年から続く人気シリーズの最終章として、公開前から大きな期待を集めている。山崎自身も今年2024年の9月に30歳を迎え、俳優としてもデビュー15周年という節目の年。「キングダム」をはじめ大作の主演を任され続け、海外の映画祭でも高い評価を受ける俳優・山崎が愛される理由とは。 【写真】無邪気なほほ笑みにキュン! ファンに手を振る山崎賢人の全身ショット ■流行語大賞にも名を連ねた“壁ドン王子” 王子様のように美しく整ったビジュアルに、不釣り合いなほどギラつく瞳が印象的な山崎は、1994年9月7日生まれ、2010年に俳優デビュー。10代の頃は「水球ヤンキース」(2014年、フジテレビ系)、「弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~」(2014年、日本テレビ系)といった青春モノに多く出演してきた。 20歳の年に、映画「L・DK」(2014年)で見せた“壁ドン”が大流行。“壁ドン”はこの年の新語・流行語大賞トップ10にランクインし、山崎はその火付け役として授賞式にも出席した。これ以降は“壁ドン王子”と愛され、胸キュン映画の代名詞的存在に。映画「ヒロイン失格」(2015年)や「オオカミ少女と黒王子」(2016年)といった少女コミック原作作品で、そのイケメンぶりをいかんなく発揮した。 ■朝ドラ「まれ」をきっかけに老若男女から支持 その一方、輪島塗職人を演じた連続テレビ小説「まれ」(2015年、NHK総合ほか)を転機にお茶の間でも人気の存在に。役所広司主演の日曜劇場「陸王」(2017年、TBS系)では、役所演じる足袋屋の主人・宮沢紘一の息子・大地役。自身も23歳だった山崎が、進路に悩む23歳の若者を等身大に演じて共感を集めた。 思えばこの頃から、徐々に“胸キュン”のイメージを刷新していった。福田雄一監督のギャグ映画「斉木楠雄のψ難」(2017年)に主演した際には、自ら“壁ドン”をパロディーしたり、志村けんさんのいわゆる“志村食い”でスイカを食べたりと、振り切ったキャラクターで話題を集めた。 さらに、映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」(2017年)やアニメーション映画「二ノ国」(2019年)といった大型作品の主演を務めるようになり、映画「劇場」(2020年)では初めて無精ひげを生やした姿を披露。築いたイメージにとどまることなく、次々と新たな顔を見せていった。 ■「キングダム」信で一流アクション俳優に脱皮 そんな中、2019年4月に公開された映画「キングダム」を契機に、山崎にまた新たな顔が加わった。今度の顔は、強烈な肉体改造とスキル習得で作り上げた“アクション俳優”だ。現在までに単行本72巻が刊行され、累計発行部数は集英社の青年漫画史上初めて1億部を超える(2023年11月時点)大人気コミックを原作に、“天下の大将軍”という夢に向かって駆け抜ける中国春秋戦国時代の戦災孤児・信というキャラクターが、山崎をさらなる高みへと押し上げた。 中でも、撮影の何カ月も前から厳しいトレーニングを重ね、吹き替えなしで演じた一連のアクションシーンは第1作から観客を魅了した。もともと10代の頃から舞台「里見八犬伝」(2014年ほか)で殺陣のトレーニングは重ねていた山崎だが、「キングダム」では持ち前の身体能力をさらに強化。 第1作で左慈役を務めた俳優・アクション監督の坂口拓をして「俺は賢人じゃなくて“信と戦ってる”という瞬間があって。そんな気持ちになったのは初めて。賢人は信に似て本当に真っすぐで。ブレのない思いが剣に乗る。鍛えたらハンパないですね」と言わしめたほどの一流アクション俳優へと成長を遂げた。 ■「キングダム」は「人生そのものです」 こうして作られた、信の物語。2019年公開の第1作「キングダム」を皮切りに、2022年公開の「キングダム2 遥かなる大地へ」、2023年公開の「キングダム 運命の炎」と、同シリーズは2000年以降シリーズ化された邦画実写作品で、1作目から3作連続で50億超えという史上初の偉業を達成。シリーズ累計動員数1000万人を超え、数々の映画賞を獲得した。そして山崎自身も、中国エンタメアワード・IQIYI授賞式アジアベスト俳優賞、「WEIBO Account Festival in Tokyo 2020」最優秀俳優賞、「ニューヨーク・アジアン映画祭」The Best from the East Awardと、世界で高い評価を受けた。 今回劇場公開されるのは、それに続く第4作。また、動画配信サービス・Leminoでは第1作「キングダム」と第2作「キングダム2―」が7月5日に見放題配信された。 第4作公開にあたり、山崎は「20代のほとんどを信と過ごしてきたので、本当に人生そのものです。信と一緒に成長してきたなと思っています」と感慨深げ。第1作から伝説の将軍・王騎役で共演してきた大沢たかおも「ただでさえかっこいいのにどんどん男らしく体も筋肉質になっていって。信の成長と同じように山崎賢人という俳優がかっこよく成長していく姿を横で見られて本当に素晴らしい7年間だったなと思います」と振り返る。 ■「動きがしみ込んでいることが大事かなと」 築いたポジションに安住することなく、常に新たな世界に飛び込んでは求められる役割を120%、いや200%の努力で果たしてきた山崎。 2024年1月に公開された主演映画「ゴールデンカムイ」でも、筋肉隆々の元陸軍兵・杉元佐一を演じるにあたりウエイトトレーニングで10kg増量。軍事監修者指導の下、アクションの練習も抜かりなく行って吹き替えなしでアクションを演じ、自ら模擬銃を購入して、自宅で装填の練習も何度も行ったという。 「スムーズに動けないと、違和感がある。動きがしみ込んでいることが、大事かなと」。演じるキャラクターと、心情だけでなくしぐさや習慣、使う筋肉までも同化する。そんな“演じる”ことへのストイックな姿勢こそが、愛される俳優・山崎賢人を作っている。 「キングダム」第1作の序盤、幼なじみ・漂(吉沢亮)とじゃれ合う少年時代のシーンから尋常でない身体能力を見せる山崎。第2作「キングダム2 遥かなる大地へ」では、初めて戦場に出た信の弾けるようなアクションが堪能できる。邦画史上まれに見る大作となった「キングダム」シリーズで、彼の本気の演技を体感してみては? ◆文=ザテレビジョンドラマ部 ※山崎賢人の「崎」はタツサキが正式表記