3場所ぶり幕内復帰の尊富士、会心の速攻 節目の100回出場を白星で飾る
○尊富士(押し出し)●武将山(九州場所4日目=13日) 3場所ぶりに幕内に戻った尊富士が持ち味を発揮している。この日もスピードのある立ち合いがさえた。押し相撲の武将山に当たり勝って相手の上体を起こすと、左のはず押しを効かせて一気に前へ。何もさせず、わずか4秒余りで土俵の外へと押し出した。会心の速攻相撲に「とにかく自分の相撲を取りたいと思っていた」と言葉が弾んだ。 2年前に日大から伊勢ケ浜部屋に入門。序ノ口から取り始め、ちょうど節目の100回出場だった。特筆すべきは、この最初の100戦の勝率である。高卒で同じく序ノ口スタートだった兄弟子の照ノ富士が71勝29敗だったのに対し、尊富士は87勝13敗(不戦敗を除く)と大きく上回っている。なお、大の里は幕下10枚目格付け出しデビューで条件が異なるものの、74勝26敗だった。 驚異的なペースで白星を重ねる25歳の背中を押すのは部屋の環境だ。黒星を喫した2日目は照ノ富士から「何で当たらないんだ」と電話があり、勝った3日目には師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)から「立ち合いもっと当たれ」と指導を受けたという。 「(注文は)切りがない。それがうちの部屋の強み」。師匠にほめられたのは110年ぶりの新入幕優勝を飾った今年の春場所くらいで、「十両優勝の時は『調子に乗っているのか』といわれた」と笑う。「上を目指す部屋なんで。少しでも多く勝って、応援に応えられるようにしたい」。意識の高さは今後の伸びしろでもある。(宝田将志)