菜々緒、ドラマ「無能の鷹」で演じる主人公は「世の中にいろんな影響を与えてくれる存在」
菜々緒が主演を務めるテレビ朝日系金曜ナイトドラマ「無能の鷹」が10月11日にスタートする。 【写真を見る】菜々緒、無能でも気にしない主人公の魅力を語る はんざき朝未の同名漫画を実写化した本作では、スマートな身のこなし&謙虚な振る舞いで有能オーラが溢れ出ているのに、PCの起動もできなければ、ホチキス止めもできない"無能"な主人公・鷹野ツメ子(菜々緒)が、圧倒的無能なのにまったく気にせず堂々と生き、次々と奇跡を巻き起こしていく! 今回、菜々緒にインタビューを実施。「超・脱力系お仕事コメディ」と銘打たれた本作のことを中心に話を聞くことができた。 ――本作の脚本を担当した根本ノンジさんが描く世界観の魅力を教えてください。 「現場で根本さんのお話になったときに、監督の村尾嘉昭さんが『本当に天才だな』とつぶやいていたのが印象的で...。原作のテンポ感だったり、世界観だったり、人物の心情だったり、1時間にうまくギュッとまとめられていますし、人間関係の切り取り方が素晴らしいなと思います。現時点でもいいシーンが撮れているんですけど、これが脚本通りつながって映像になったとき、どんな作品になるのかすごく楽しみです」 ――今回、鷹野はもちろん、同僚のキャラクターも個性豊かですよね。 「そうですね。実際にこの世の中にいそうな感じの人たちも多くて...。ファンタジーとリアリティが融合された絶妙なキャラクターたちなんですよ。皆さん素晴らしく演じてくださっているので、視聴者の方にどう届くのか楽しみですね」 ――登場人物は、見た目は有能だけど中身は無能な鷹野、ひ弱で取引先に「無能そう」とナメられてしまう鶸田(塩野瑛久)、良い人すぎる鳩山(井浦新)、根回しの鬼・雉谷(工藤阿須加)、情報収集が趣味の鵜飼(さとうほなみ)、ありがとうとごめんねが言えない老害部長の朱雀(高橋克実)など、たくさんいますが、菜々緒さん的に気になるキャラクターはいらっしゃいますか? 「もちろんみんな好きで、なんだか憎めない愛されるべきキャラクターたちばかりですけど、そのなかでも朱雀部長が(ドラマが進むなかで)成長していきます。60年近く生きてきたなかで、定着してきた癖や考えって直すのが難しいじゃないですか。朱雀部長がメインの回では、家庭のこと、会社のこと、同僚のこと、いろんなことに向き合う話になるので、視聴者の皆さんにも響く方がいらっしゃるんじゃないかなと思いますね」 ――年齢を重ねた朱雀部長に限らず、新しい価値観って受け入れづらいですよね。 「そうですね。古くからの凝り固まった常識や慣れ親しんできた習慣があるなかで、新しいものを取り入れるって抵抗があるし、馴染めないことってあると思うので、そういったところを自分と置き換えながら見ていただけるんじゃないかなと思います。『変えていかなきゃ』って分かっていても行動に移せない人たちの背中を押す回にもなると思います」 ――菜々緒さんが演じる鷹野についての印象を教えてください。 「鷹野はいろんなものを超越しすぎて、『禅や仏と似た道を進んでいるんじゃないか』と錯覚させられます。世間一般から見れば無能だし何もできない鷹野なんですけど、我が道を突き進んで、自分に嘘がなく、正直に生きて、ただただ自分の人生を楽しんでいるだけなんです。 行動することで気づきが生まれる、自分が信じた道を突き進めば、自ずと道は開けるという『禅即行動』という言葉があるんですけど、鷹野は自然とその行動を続けている人なのかもしれません。彼女を見ていると『人間って本来こうあるべきなのかもしれないな』と思うし、取り繕ったり、コントロールしたりしなくても、自分らしさを失わずに信じた道を突き進めば、自ずと道って開けるんだなと、彼女から教わったような気がします。私のなかでは、鷹野はある意味で人生の師匠で、漫画やこの作品も人生の教科書になるんじゃないかなと思うんです」 ――鷹野は友人にしても良い影響を受けそうですよね。 「鳩山さんが、『普通の自分を変えたい』と鷹野をメンターにする回があって、鷹野についていく話があるんですけど、実際にそれをやったらめちゃくちゃ面白そうだなと思いました。このドラマや鷹野は、たくさんの人の意識を変えて、世の中にいろんな影響を与えてくれる存在になるんじゃないかな...とさえ思えるほど、素敵な作品だなと思います」 ――できそうなのにできない鷹野の「ギャップ」も本作の魅力です。菜々緒さんがギャップを出すためにこだわったことは? 「ふざけているわけでも計算しているわけでもなく、ただ真面目に、正直に生きているところが彼女の魅力だと思うので、素直にお芝居をしています」 ――確かに彼女は自分のことをダメだとは思ってないですもんね。 「そうなんです。ダメだとも思っていないし、面白いことを言おうとも思っていないし、計算をしてないんですよね。ただ自分が思ったことを口に出しているだけ。なので、リハーサルのときも、計算したお芝居ではなく、『鷹野だとこう言いそうだな、こうしそうだな』と思ってやってみたことが、意外とみんな笑ってくれて採用されることが多いので、素直な受け答えや純粋さみたいなものは大事にしています」 ――「わざと」が垣間見えると冷めちゃいますし。 「子供のような純粋さを彼女は持っていると思うので、『これってなんですか?』、『わかりません』とか(笑)、素直なところを意識しながらお芝居をしています」 ――本作のようなコメディドラマに取り組む際、面白さや難しさなど、感じることがあれば教えてください。 「原作や脚本が間違いなく面白いので、自分のキャラクターを好きで大切にお芝居をやっていれば、自然と楽しくなりますね。あと、『無能の鷹』は、キャストや監督と『もっとこうした方がいいですか?』、『これはちょっとやりすぎですかね?』とディスカッションをしながら撮り進めています。自分自身のバランスと、客観的に見たバランスをみんなで模索しています。画面を通してそのニュアンスや塩梅を調整したものが皆さんにどう伝わるのか...今からものすごく楽しみです」 取材・文・写真=浜瀬将樹 スタイリング=金 順華 ヘアメイク=吉田真妃(クララシステム)
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