ブロックチェーンは公共財の資金調達に革命を起こす
成功事例
こうしたプログラムの中には、オプティミズム(Optimism)のRetroPGFのように効果的なものもあった。この仕組みは、コミュニティの集合的な知恵と意思決定に基づいて、最もインパクトのあるプロジェクトに、過去に遡って資金を提供するものだ。 RetroPGFは、暗号資産が最も資金を必要としている分野に資金を分配する、協調的で透明性があり、改ざん防止された方法を支えている事例として、私が目撃した最初の大規模でメインストリームの資金調達メカニズムだった。 私の意見では、これは非常に成功した実験だった。各ラウンドは科学実験のように運営され、仮説と制御変数が設定され、 毎回正確にインパクトを評価し、それに報いる精度を上げていった。その後すぐに、ファイルコイン(Filecoin)やセロ(Celo)などの他のブロックチェーンエコシステムもこの春にそれぞれのコミュニティでRetroPGFラウンドを実施して、これに続いた。 これはエキサイティングな展開だったが、それでも私は、なぜこれらの資金調達メカニズムの主な採用者が他のブロックチェーンエコシステムなのか不思議に思っていた。この暗号資産のニッチな分野のすべてが、ブロックチェーン助成金プログラムを改善するためだけに行われていたのだろうか? 私の答えは、イエスでもありノーでもある。 公共財の資金調達メカニズムは一般的に、単なるDAO(分散型自律組織)のツールや社会善の取り組みとして退けられている。しかし規模を拡大し、市場シェアを獲得する競争において、これらの仕組みは競争上の優位性になっている。 ブロックチェーンエコシステムは、前例のないスピードでこれらの斬新なツールやプロトコルを試験運用している。こうしたオープンソースツールが改善されるにつれ、(ブロックチェーンに限らず)どのエコシステムにとっても、自分たちにとって重要なもののために資金調達することが容易になる。 オンチェーンエコシステムは、世界中の何千もの人々で構成され、彼らが共有する目標を中心に斬新な形の経済構造やガバナンス構造が作られている。これはすごいことだ。 人類の歴史において、こうしたシステムはトップダウンで設計されてきた。しかし今、ブロックチェーンによって、ボトムアップ型のグローバルネットワークが、自分たちの価値観に沿ったシステムを設計することが可能になっている。