「トランプ2.0」と対峙する習近平主席の苦悩、古典的な経済外交もパンダ外交も機能しない今、大打撃を受ける恐れも
■ 石破首相の「粘り強さ」が試される日中関係の重要局面 最後に、トランプ2.0における日中関係のあり方について述べておきたい。 これから米中対立がもっと激化する可能性を考えて、日本がそれに巻き込まれないようにするにはどうすればいいか、戦略の練り直しが求められている。日米同盟を堅持することは前提となるが、トランプ2.0に翻弄されないように、日本独自の戦略を講じる必要がある。 トランプ2.0において国際情勢がより不安定化する恐れがあるが、逆に言えば日本に対する期待も高まる。差し当たって重要なのは石破茂首相が記者会見で述べた、中国との対話を強化することである。 ただ、対話するというのは戦略がないと無意味になる。石破首相は習近平国家主席に何を求め、相手に何を与えるか、前もって論点整理をしておく必要がある。求めるだけで与えるものがなければ対話が実らない。 いま、安倍晋三元首相が暗殺され、日本政府はトランプとのパイプが細くなったため、まずはトランプに通じるパイプの再構築を急がなければならない。 実はトランプと習近平は似ているところがあって、いずれもカリスマ性の強い独裁者、あるいはそれに近い存在である。したがって、その側近との対話よりも本人との直談判が重要である。今回は石破首相の粘り強さが試される局面と言える。
柯 隆