引退か、現役続行か、広島の“男気”黒田の去就はどうなる?
広島の黒田博樹(40)の去就が、いまだに不透明だ。この23日にマツダスタジアムで行われる「広島ファン感謝デー」に参加しないことが判明。来季の去就がハッキリとしていない段階でのイベント参加は、ファンへ失礼にあたると考えたのか。それでも、来週には一度アメリカから帰国、今後の去就についての会談が球団との間で持たれるものと考えられているが、現時点では何もかも白紙だ。 今季の黒田は、メジャーの20億円以上の巨額オファーを蹴って8年ぶりの広島復帰を決意。“男気・黒田”として、開幕前から球界の話題をかっさらい、25試合(26試合登板)に先発、169回3分の2を投げて、11勝8敗、防御率2.55の成績を残した。タイトルとは無縁だったが、ほぼ1年間ローテーションを守り、最終戦までもつれたチームのクライマックス進出争いを支えた。打線の不振と、中継ぎ、抑えがなかなか確立できなかったことが響き、最終戦に敗れたことで4位に終わったが、広島ファンからすれば、もし黒田がいなければと考えると、ぞっとするだろう。もちろん、球団側も全力慰留する考え。しかし、黒田は態度を保留している。 実は、黒田が去就に悩むのは、これが初めてのことではない。2007年オフにドジャース移籍を決めた際には、4年の複数年契約を提示するドジャース側に対し黒田は、1年減らして3年契約を求めた。以降、4年目もドジャースでプレー、5年目からヤンキースに移籍したが、そのすべてが1年契約。メジャーの選手のほとんどが、1年でも長い複数年契約を求めるが黒田は異例だ。 「この試合、この1球が最後になるかもしれないという気持ちでマウンドに上がっている」のが、黒田のポリシーであり、彼が「辛い」と語るマウンドに上がるモチベーションを保つための流儀なのだ。 それこそが“男気”とファンの共感を呼ぶ所以でもあるが、そこまで自分を追いつめて、1シーズンを戦った後は、その反動が生まれ、まるで燃え尽きたように心と体を休めて去就を決めない。いや来季のことなどとうてい考えられないのだろう。2年前のオフにも、大きく引退に心が揺れたこともある。大きな責任と重圧を背負い、足首の怪我などを抱えながら40歳の肉体にムチを打って、自らにノルマと課していた2桁を勝った黒田は、なおさら、今すぐに来季の自分を想像することはできないのだろう。