引退か、現役続行か、広島の“男気”黒田の去就はどうなる?
1年毎にFAとなっていたメジャー時代は、シーズンが終わると水面下で、年間200イニングを投げ、安定してローテーションを守る黒田争奪戦が起きていたが、あまりにその決断に時間がかかりすぎるため、来季のチーム編成を早く決めたい球団が、しびれを切らして獲得を断念したことまである。今オフは、プレーする先ではなく、現役を続行するか、引退するか、だけの選択肢。黒田がさらに、その去就に時間をかけるのも当然なのかもしれない。 広島でのコーチ経験もある元ヤクルト、西武監督の広岡達朗氏は、「広島は、最後の最後でAクラスを逃したが、黒田はその結果も野球人としての姿勢も含めて、素晴らしい効果をチームにもたらしたと思う。40歳でありながら中4日でマウンドに上がりバッターに向かっていった。登板と登板の間には、考え尽くした調整を行い、おそらく若手投手は、黒田のその姿を見るだけで大きな影響を受けただろう。最高のプロフェッショナルの手本が傍にいるのだから、プロとはどうあるべきかがわかったのだと思う。 体力的には十分に来季もできるし、現役を続けるべきだ。前田にもメジャー移籍の話が持ち上がっているし、もし黒田がチームを去るようなことになれば、広島は来季もまたBクラスに落ちてしまうだろう」と、黒田が引退した場合、チームに与えるショックの大きさを危惧している。 黒田は、帰国後、広島の選手会納会には参加する予定だという。納会では、選手会長の梵らが中心になって、黒田に来季も、現役続行のラブコールを送ることは間違いない。無礼講の席でチームメイトの熱い説得を受けて、黒田の気持ちがどう揺れ動くのか。まだ球団は方向性を打ち出していないが、前田健太がポスティングでメジャー移籍するかどうかの動向に、黒田がどう対応するのか。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)