<甲子園交流試合・2020センバツ32校>夢の試合、最高の舞台に 異例のオンライン抽選 組み合わせ決定
今季初となる「甲子園」の組み合わせが8日決まった。2020年甲子園高校野球交流試合(日本高校野球連盟主催、毎日新聞社、朝日新聞社後援)の抽選会。新型コロナウイルスの感染防止のため、ウェブ会議システムを使ってオンラインで日本高野連の抽選本部と招待校32校をつなぐ異例の形で行われ、各主将が緊張した面持ちで臨んだ。憧れの夢舞台での対戦相手が決まると、主将たちは支えてくれた人たちへの「感謝」を示し、「悔いなく戦いたい」と意気込みを語った。 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 抽選のクライマックスは、19年夏の準優勝校・星稜(石川)が抽選札を引いた次に、同校を破って初優勝を果たした履正社(大阪)が登場した瞬間。関本勇輔主将(3年)が「イでお願いします」と選んだ抽選札には、星稜と同じ試合番号が書かれていた。昨夏の決勝の再来は8月15日(第4日)の第1試合。対戦が決まった瞬間、驚いたような表情を見せた関本主将。「昨年のような熱い試合ができると思ったのでうれしさと驚きがこみ上がりました。すきのない野球をしたい」。岡田龍生監督は「甲子園では息の詰まるような試合をしたい」と話した。 一方、星稜の内山壮真主将(3年)は「借りを返すことを全員が胸に刻んで頑張りたい」と闘志を燃やし、林和成監督は各社の取材に「3年生には集大成なので持てる力を出し切れるように調整したい」と話した。 埼玉県加須(かぞ)市の寮のミーティング室に制服姿の選手やマネジャーら約50人が集まり、大型スクリーンで抽選の様子を見守った花咲徳栄(埼玉)。対戦相手が決まると、選手たちは「おお」と、やや控えめな声でどよめいた。井上朋也主将(3年)はインタビューに「もう一度みんなと野球ができることに喜びを感じながら、最高のパフォーマンスができるように準備したい」と話した。その後、開幕戦(8月10日)に決まると「おお」と今度は少し大きな歓声が起き、選手らの表情が緩んだ。岩井隆監督は「一瞬一瞬を大事に、全てを出し切れるよう今日から頑張っていきましょう」と言い、選手らは真剣な表情で聴き入った。 ◇豪雨被害「野球で勇気づけたい」 対戦相手となった大分商もエースの川瀬堅斗主将(3年)の抽選を見守り、開幕と決まると、校内の別室で見守っていた制服姿の部員らが「オーッ」と一斉に歓声を上げた。「開幕? やばい!」「楽しみなんだけど」と驚きと喜びを交錯させた。23年ぶりのセンバツ出場を決めたものの大会が中止になり、ナインはこの日を待ち望んでいた。抽選会の後、川瀬主将は「夢に描いていた甲子園で野球ができる。高校野球をやって良かったと言えるように、悔いのないように全力を出したい」。九州で続く豪雨被害にも触れ、「豪雨で苦労している人たちがいっぱいいる。野球をプレーする姿で多くの人を勇気づけたい」と意気込んだ。 19年の秋季県大会、同東海地区大会、明治神宮大会をいずれも優勝で飾り、今春のセンバツでも全国制覇を狙っていた中京大中京(愛知)。印出太一主将(3年)は対戦校の智弁学園(奈良)について「バッティングが強く粘り強い印象。打たないと勝てないので打撃も強化したい」と決意を新たにした。4日に開幕した愛知県の独自大会では初戦をコールド勝ちし、19年8月からの公式戦連勝記録を20に伸ばす。高橋源一郎監督は「勝ちにこだわっているので出せる力を思い切りぶつけていきたい」と話した。 センバツに21世紀枠で出場するはずだった帯広農(北海道)はグラウンドで打撃練習をしていたが、抽選会が始まると練習を中断し、インターネット中継を見守った。音声は校内放送でも流され、対戦相手が健大高崎(群馬)に決まると、選手からは「おー」という歓声が上がった。井村塁主将(3年)は「健大高崎は昨年の夏に練習試合をしたチームなので甲子園で対戦できることは楽しみ」と笑顔。前田康晴監督は「試合に向け、どうやってチームを作り上げるか選手たちと考えたい」と話した。 全32チームで最初に抽選札を選んだ平田(島根)の保科陽太(ひなた)主将(3年)は「緊張したが、ここから交流試合が始まるんだと思うと、言葉に表せない気持ちだった」と振り返った。「対戦する創成館(長崎)はレベルの高い常連校だが、平田らしい野球をするだけ」と意気込んだ。守備の要の捕手、三島毅輔(きすけ)選手(3年)は「相手が決まり、練習にも身が入る。まずは県の独自大会で雰囲気を高め、甲子園での試合に勝って終わりたい」と話した。【センバツ交流試合取材班】