京都国際 「甲子園で勝つチーム」 センバツ経験、目標新たに /京都
兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で3月19日~4月1日に開催された第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)。春夏通して初の甲子園出場を果たした京都国際は、歴史を刻む1勝を挙げた。試合終盤に勝負強さを発揮できるよう「終盤勝負」を合言葉に鍛錬を積み、挑んだ夢舞台。さまざまな経験を積んだチームが立てた新たな目標は「甲子園で勝つチームになる」だ。【中島怜子】 聖地での2試合は、終盤での粘り強さと、もろさの両方が出た対照的な結果となった。 3月24日の記念すべき初戦は、同じく甲子園初出場の柴田(宮城)と対決。一回に2点を先制され、柴田の主戦の直球にも手を焼いた。七回の逆転直後に追い付かれる場面もあったが、延長十回に2点を挙げると、1点差に迫られて盗塁などで揺さぶりをかけられる中でも粘り強くしのぎ、初勝利を手にした。 一方、27日の2回戦は強豪・東海大菅生(東京)が対戦相手。序盤に先制を許すも、五回に安打を集中し、4―2と逆転に成功する。しかし、九回にじわじわ詰め寄られ、1点を返されて迎えた2死満塁。先発・森下瑠大(りゅうだい)投手(2年)が相手打者を2ストライクまで追い込んだが、右翼方向の長打を浴びてサヨナラ負け。ベスト8進出は、かなわなかった。 敗れた直後、ナインたちはお互いに言葉を交わさなかったという。「負けたのが信じられないというか、実感が湧かないというか。ぼうぜんとした様子だった」と小牧憲継監督(37)は振り返る。しかし、この日の夜に宿舎であったミーティングに現れたナインたちは、既に気持ちを切り替えていたという。翌日、学校に戻ると、すぐにグラウンドで練習を再開していた。 ナインと小牧監督が立てた新しい目標は「甲子園で勝つチームになる」。甲子園へのこだわりを表に出すことはなかった小牧監督が、ナインの前で「甲子園」と口にしたのは初めてだった。「ボール球を振らない」「走者を進塁させるために、逆方向に打球を飛ばす」など、敗戦から学んだ教訓を取り入れていった。「また甲子園に行けるよう、一つ一つのプレーを大事にしたい。焦らず、まずは今の自分たちにできることを」。山口吟太主将(3年)が語る。 2回戦で肘に死球を受け、内出血を起こしていた平野順大(じゅんた)投手(2年)も練習に復帰。敗戦後に悔しさをにじませていた森下投手も「投打共にうまくいかず、悔しかったが、今度は借りを返しにいく」と前を向く。9打数4安打4打点と活躍した中川勇斗(はやと)捕手(3年)も「次こそ全打席安打・出塁。打撃の確実性を上げたい」と闘志を燃やす。 グラウンドには今春、チームに加わった1年生の姿もある。札幌市から進学した小林春輝選手は、テレビで先輩たちの熱闘を見ていた。「格好よかった。先輩たちが僕たち1年に声を積極的に掛けてくれるので、そこまで緊張せずにできている」と明かす。 「負けると、やっぱり悔しかった。またあの場所に戻りたい。このままでは終われないので」。練習中の選手たちを見守る小牧監督の目には、強い決意が浮かぶ。再び聖地に戻ることを夢見てグラウンドで白球を追う選手たちは、これまで以上に力強い声を出し、はつらつとした表情を見せている。 ……………………………………………………………………………………………………… ■京都国際・センバツでの試合結果 ▽1回戦 京都国際 0000003002=5 2000001001=4 柴田(宮城) (延長十回) (京)森下、平野―中川 (柴)谷木―舟山 ▽三塁打 武田(京) ▽二塁打 辻井(京)横山、沼田(柴) ▽2回戦 京都国際 000040000=4 011000003=5 東海大菅生(東京) (京)森下―中川 (東)鈴木泰、松永、本田―福原 ▽二塁打 中川、平野(京)岩田、福原、小池、多井(東) 〔京都版〕