Michael Wilson Photographer: Christopher Goodney/Bloomberg

（ブルームバーグ）： 先月の市場調整を予見していたモルガン・スタンレーの米国株チーフストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏は、６日に発表される米雇用統計が米経済の回復力を示すさらなる証拠となれば、米国株の上昇に出遅れている銘柄が追い上げる可能性があるとの見方を示した。

ブルームバーグの調査では、８月の雇用者数は16万5000人増（７月は11万4000人増）が見込まれる。

テクノロジー株は今年、Ｓ＆Ｐ500種株価指数の急上昇をけん引してきたが、バリュエーションが高くなり過ぎたとの懸念から、投資家は他のセクターに目を向けている。

ブルームバーグがまとめたデータによると、指数構成銘柄の約16％が現在52週高値で取引されている。年初には４％だった。

ウィルソン氏はリポートで、ディフェンシブ銘柄への選好をあらためて強調する一方、小型株や「主に成長減速が進行しているため、過去数年間アンダーパフォームしてきた割安なシクリカル銘柄」の買いを控えるよう警告した。

ウィルソン氏は７月上旬、米大統領選や企業業績、連邦準備制度の政策が不透明な中、株式市場の調整に備えるべきだと警告。それから１カ月もたたないうちにＳ＆Ｐ500種はピークから8.5％下落した。

しかし８月の急落以降、好調な経済データが市場の回復を後押ししており、ウィルソン氏は今週の雇用統計がこの傾向をさらに強めるだろうと予想している。一方、失業率の上昇を伴う予想を下回るデータであれば、「先月のように株式のバリュエーションを圧迫することになるだろう」とみている。

ウィルソン氏は、株式にとっての「スイートスポット」は、安定した成長と米当局による一連の25ベーシスポイント（ｂｐ、１ｂｐ＝0.01％）利下げだろうとし、「それよりもハト派的な政策対応、つまり50ｂｐの利下げは、労働市場の低迷を伴う場合、株式市場からは好意的に受け止められないかもしれない」という。