よみがえる珠洲・寺家の町並み 震災前の風景をジオラマで残す
●金大、神戸大生ら住民から聞き取り 能登半島地震前の珠洲市三崎町寺家の町並みをジオラマ模型で再現するプロジェクトが進められている。金大や神戸大などで建築を学ぶ学生が住民から震災前の風景や記憶に残る出来事を聞き取り、全長5メートル、幅最大3メートルの大型模型で表現する。11月3日まで製作し、思い出のふるさとを後世に伝える。 プロジェクトは「記憶の街ワークショップ」と題し、神戸大減災デザインセンターの槻橋(つきはし)修教授(建築学)と金大能登里山里海未来創造センターとの共催で実施する。震災で失われた豊かな日常を思い起こし、地域を懐かしむことで再生に向けた第一歩を踏み出す狙い。東日本大震災の被災地などでも行われてきた。 早大も加えた計22人の学生が参加し、500分の1の縮尺でジオラマを作る。500メートル四方の区画ごとに12個製作し、発泡スチロールで地形や建物を再現している。 28日は三崎町寺家の大浜集会所に地区内外の住民が訪れ、ジオラマを前に思い出を語り合った。地震前に岩のりが採れていた海岸や子どもの頃に遊んだ砂浜といった住民の記憶を学生が小さな旗に記し、ジオラマに立てていった。 下出(しもで)地区の区長を務める出村正廣さん(77)は「地震後は人も減り地区の姿は変わったが、懐かしい昔の思い出で交流できて楽しかった」と笑顔を見せた。神戸大大学院修士課程1年の泉貴広(あつひろ)さん(25)は「地元の方がふるさとについて話し合うきっかけになればうれしい」と話した。