ブルネロ クチネリの知られざる3の真価とは?
ブルネロ クチネリの真価③【モノだけではなくヒトの付加価値を。「人間主義的経営」】
ブルネロ クチネリは、ファッションだけでなく、その経営哲学も多方面から注目されている。創業者のブルネロ クチネリ氏は、農業をやめ、都市部の工場で不遇な環境下で働く父親の姿を目にした経験と、それに対する強い思いが原点となり、「働く者の尊厳」を何よりも尊重。「自然との調和」や「利益と社会貢献のバランス」を大切にすることで人間の尊厳を保つ仕事を生み出したいと考えて生まれた「人間主義的資本主義」を経営理念とし、「世界で一番美しい会社」と称されている。 ブルネロ クチネリ氏は、1953年にペルージャの農村カステル・リゴーネで生まれた。当時、クチネリ家は13人家族。畑や果樹園、そして森に囲まれた素朴な農家に住み、電気を使用せず、家畜の力を活用して土を耕すなど、自然に密着した生活を送っていたという。
1982年には妻フェデリカとの結婚を機に、彼女の故郷であるソロメオ村へ移住した彼らは、14世紀に建築された古城を買い取って修復し、ブランドの本社に。それに伴い地域の住民を雇用、村の教会を修復し、あらたに劇場を建設したり、2013年には地元の高度な職人技を次世代へ受け継いでいくために「ソロメオ職人学校」を開校。ブランドの拡大と同時に、衰退・荒廃していた村の経済的かつ美観的な復興を促進している。
ECサイトにおいても、“人間主義”を貫いている点は見逃せない。無機質なコミュニケーションで顧客が不快に思うことがないように、商品には手書きのメッセージが添えられている。さらに読み物として楽しめるコンテンツ、AIを導入したウェブサイトなども展開。さらに特別なギフトラッピングなど、温かみのあるサービスも提供されている。
1人勝ちは無し。黒字を維持し、イタリア平均以上の給与と開放的な職場環境を実現する「世界で一番美しい会社」
ブルネロ クチネリは、業界のなかでもイタリアの平均水準以上の給与と美しい職場環境を提供し、さらに村の景観の維持、伝統的技術の保護まで行いながら、創業から45年以上経った現在でもなお黒字経営で事業の拡大を続けているというから驚きだ。ひたすらに利益追求に走る企業、不祥事やハラスメントのニュース、一部の投資家や経営者への富の集中などが問題視される現代において、ブルネロ クチネリが「世界で一番美しい会社」と称されるのも納得がいく。 編集部 橘「ブルネロ クチネリの経営理念は、世界から注目されています。創業者のブルネロ クチネリ氏が出版した『人間主義的経営』は一読の価値あり。アマゾン、セールスフォース、X(旧ツイッター)などの経営者も注目しているというブルネロ クチネリの経営学を深く知りたい方は、ぜひチェックしてみてください!」