ヒノキ廃液生かし染色 三瀬谷小5、6年が体験 三重・大台 県の森林教育
三重県多気郡大台町佐原の町立三瀬谷小学校(池村一平校長、133人)の5、6年生約40人が13日午前8時45分から、文字を書き写した布を染色する「タペストリー染色体験学習」に臨み、木材など自然の素材を使った染色で、自然の大切さを学んだ。 この取り組みは、県が2014(平成26)年に導入した「みえ森と緑の県民税」事業を活用し、森林の役割や循環について学ぶ森林環境教育事業の一環で行われた。 この日は宮川森林組合と町役場森林課の職員5人が子供たちに授業を行い、学年ごとに2部に分かれて染色に取り掛かった。 このうち5年生では、同組合の森正裕さん(65)=北牟婁郡紀北町=の指揮の下、授業を開始した。 子供たちはまず、木綿製の布に、事前に用意してきた象形文字を豆乳に浸した筆で書いた。その後、同組合がヒノキのアロマオイルを抽出する際に出た廃液(煮汁)に布を浸し染色。こうすることで豆乳に含まれるタンパク質と染色液が反応し、文字の部分だけ色が濃くなるという。森さんは「全体がきれいに染まるように、菜箸でつつくなどして液にしっかり浸して。そうしないと色むらができてしまうよ」とアドバイス。 その後、色止めの媒染(ばいせん)作業へ。子供たちがアルミ媒染と鉄媒染に分かれてそれぞれ布を浸すと、アルミは染色液に近い淡い薄茶の色合い、鉄は渋い黒系の色合いに染まった。 その作業をもう1回繰り返して乾かし、作品が完成すると、子供たちはうれしそうに見せ合った。森さんは「木材からオイルを抽出して、その廃液もこうして染め物に使える。使いようによってはすごくいい物ができるし、捨てるところがありません」と自然の素材を使う魅力を語った。 名字の象形文字を書いたという中村玲音君は「『村』の文字がつながっちゃったけど、うまくできた。染料に木を使ったのが意外で、楽しかった」、名前の「陽」の象形文字を書いた宮川陽葵さんは「豆乳で文字を書くのと、色むらができないようにするのが難しかった。家に持って帰ったら玄関に飾りたいな」とそれぞれ話した。