広島・松田オーナー 渡辺恒雄さん悼む「スーパースターみたいな人。巨人の巨人」 父からの縁「気にかけてもらった」
広島・松田元オーナー(73)が19日、死去した読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄さんを悼んだ。父である先代の松田耕平前オーナーが親しかった縁もあり、気にかけてくれたと回顧。巨人のオーナーとして野球界に尽力した功績に触れ「スーパースターみたいな人。それこそ、巨人の巨人」と話し、沈痛な表情を見せた。 突然の訃報に、驚きを隠せなかった。松田オーナーは渡辺さんの死去を受け「百何歳まで生きるんじゃないかと思っていた。亡くなるとは考えもしなかった。いつまでも元気な人だと思っていた」と寂しげな表情。「スーパースターみたいな人だった。それこそ、巨人の巨人」と哀悼の意を示した。 父である先代の松田耕平前オーナーが渡辺さんと親しかったこともあり、若い頃からかわいがってもらった。「よく声をかけてもらって、気にかけてもらった。巨人愛を表に出すと同時に(球界)全体が繁栄するようなことを、いつも考えておられた」と、在りし日を思い返した。 記憶に刻まれているのは、マツダスタジアム建設前に読売新聞本社を来訪した時のエピソード。渡辺さんの部屋には、ボロボロになるまで読み込まれた野球協約が置かれていたという。「付箋がついて、赤鉛筆で線を引いて。(野球に)詳しかった」。繊細かつ、几帳面な一面に触れた。 その部屋には渡辺さんが飼っていた鳥がおり、部屋中を飛び回っていたという。鳥が松田オーナーの肩に止まり、フンをしたことも…。「それを渡辺さんが紙で取ってくれた。いい思い出だね」と懐かしむ。オーナー会議に出席した際には葉巻やパイプをくゆらせるのが定番。「葉巻を吸う姿の格好良さは、忘れられない」と、今でも心の一ページに刻まれている。 球界発展のために尽力した先達。「優しい人。ずっと気にかけてもらってありがたい。野球界全体のことを考えた上で、広島という地域としての球団のことをよく理解してくれていた。こんなふうに思い出話をすることになるとは」。感謝の思いを述べつつ、神妙な面持ちで別れを惜しんだ。