「海なし県」でキャビアを新名物に チョウザメを養殖、専門家も「向いている」 観光の目玉へ、長野県の企業の挑戦
キャビアは3年後、魚肉は来年の販売開始目指す
天竜川の地下水を活用しチョウザメの養殖に取り組むCavLuck(キャブラック・長野県高森町)がチョウザメの卵のキャビアを南信州名物にしようと、養殖事業の本格化を準備している。20日、長野県の高森町役場で記者会見した吉沢充社長は「キャビアは3年後、魚肉は来年の販売開始を目指す」と述べ、海外展開も視野に入れるとした。 【写真】チョウザメを飼育しているCavLuckの吉沢社長
チョウザメの養殖は同町商工会青年部が2021年に活性化を目的に始め、23年から県や町、北海道大学の足立伸次名誉教授(魚類繁殖学)が協力。建設会社に勤務していた吉沢社長が、天竜川の舟下りなど既存観光業との相乗効果を狙い、5月にキャブラックを創業して引き継いだ。運転資金は、金融機関や県などが立ち上げた「信州スタートアップ・承継支援投資事業有限責任組合」が支援した。
「養殖に向いている」と専門家
現在は高森町と同県飯田市の水槽でシベリアチョウザメなど3種類約7600匹を飼育。水は井戸でくみ上げた天竜川の地下水を使う。年間を通じてチョウザメが活動しやすい水温15~19度に保たれ、水質もよい。足立名誉教授は、雌が卵をもつまで通常7年かかるところを2年ほど短縮でき「チョウザメの養殖に向いている」と話す。
国産キャビアは希少
チョウザメは繁殖技術が未確立だが、国産キャビアは希少で魚肉も需要があるとし、吉沢社長は「海なし県での養殖はインパクトがあり、観光の目玉になる」と強調。この日は関係者が飼育水槽を視察し、飲食店によるチョウザメ料理を試食した。