環境整ったと捉えられてもいい-為替介入について問われ鈴木財務相
(ブルームバーグ): 鈴木俊一財務相は23日午前の参院財政金融委員会で、円安の進行を受けた為替介入に関し、「環境は整った」との認識を示した。ドルの独歩高が各国経済に悪影響を与える中、為替介入を容認する暗黙の了解があるのではないかとする立憲民主党の勝部賢志氏の質問に答弁した。
鈴木財務相は、米ワシントンで先週開かれた一連の国際会議で円安への懸念を共有することができたのは一つの成果と評価。日本側から為替相場の行き過ぎた動きに適切な対応を取る考えも表明したとし、介入を念頭に「環境が整ったのかということについては、そう捉えられてもいい」と述べた。
17日に行われた初の日米韓財務相会談では、急速な円安に関する深刻な懸念を認識し、為替市場の動向に関して緊密に協議するとの共同声明を取りまとめた。その後、開かれた主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の声明では、為替の過度な変動は経済に悪影響を与えるとした従来のコミットメントを再確認した。
22日の外国為替市場で円は海外時間に一時1ドル=154円85銭と約34年ぶりの安値を更新。株高を受けた投資家心理の改善や市場のボラティリティー低下を受けた円売りが優勢となった。心理的節目の155円を超えて円安が進んだ場合の介入リスクが意識される中、通貨当局の発言に対し市場の警戒感は強まっている。鈴木財務相の発言後、円が対ドルで上げ幅を拡大する場面があった。
神田真人財務官はG7会議後の共同会見で、為替に関する過去のG7声明を再確認したことが「肝」と説明していた。市場からは、円安による経済への悪影響が懸念される日本にとって、介入をいつ実施しても障害はないとのコンセンサスが取れた状況との見方も出た。
鈴木財務相は、先立って行われた23日の閣議後会見で、円安が進んでいる足元の為替動向を「緊張感を持って見ている」と指摘。その上で、「過度な変動に対してはあらゆるオプションを排除せず適切に対応するという従来の方針は堅持している」と市場をけん制した。