超富裕層、プライベートエクイティー会社によるバイアウトの波後押し
(ブルームバーグ): 1500億ドル(約23兆4000億円)以上の資産を持つ超富裕層が、プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社によるバイアウトの復活を後押ししている。
ブルームバーグがまとめたデータによると、玩具やボイラーなどさまざまな業界で財を築いた富豪一族は、今年200億ドル近い上場企業買収で共同投資家となった。KKRやシルバーレイクのようなPE投資会社の有力な資金源として存在感を示し、借り入れコストが依然として高い時代に買収を成功させる助けとなっている。
ドイツのフィースマン一族は大規模な事業売却を終えて潤沢な資金を手にし、3月に発表された再生可能エネルギー企業エンカビスの30億ドルでの買収でKKRと提携した。ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、100年以上の歴史を持つこの一族は1月に冷暖房事業をキャリア・グローバルに売却し、純資産は137億ドルと推計される。
一方、マイケル・デル氏のファミリーオフィスはシルバーレイクと組んで、タレントエージェンシーのエンデバー・グループ・ホールディングスを130億ドルで買収した。プライベートエクイティー会社によるバイアウトとして今年最大となる。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントは1月に、デンマークの富豪、レゴ・グループのオーナーであるキアク・クリスチャンセン家から資金を得てノルウェーのラーニングプラットフォーム、カフート!の買収を完了した。4月にはモルガン・スタンレーのインフラ部門が、ミラノ上場の建設会社サルチェフ・グループを、数十年にわたり同社を支配してきたサルチッチャ一族と共に買収することで合意した。
同じ条件
多くの年金基金や寄付基金は、プライベートエクイティー投資に割り当てられる金額の上限に達しており、バイアウト会社はますます、富裕層や政府系ファンド(SWF)に目を向けることになる。プライベートエクイティー投資会社は、共同投資家を迎えることで案件のために自ら準備する資金を減らすことができる。借り入れコストの高騰でレバレッジが制限される現在、これは歓迎すべきことだ。