阪神2軍が熊本震災支援に1万人チャリティを計画!
阪神の2軍も熊本の震災支援に立ち上がる。 阪神のファームは、5月3、4、5日と3日間、甲子園で開催されるウエスタンリーグの広島3連戦で、1試合1万人の観客動員プロジェクトを計画しているが、掛布雅之2軍監督(60)が、この機会に義援金を集める募金などチャリティ活動を行うことができないかと球団に提案した。すでに阪神だけでなく各チームが、1軍の試合前に募金活動を行っているが、阪神は、2軍も何かの支援活動ができないかと動き始めた。 掛布2軍監督が言う。 「こんなときに野球をやっていていいのか?という自問がある。プレーで示す以外に何ができるのか。5月に2軍の試合で甲子園に1万人を集めようというプロジェクトを練っているが、そこで何か、熊本、九州で被災された方々のお役に立つことができないか、と、球団と話をした。 私はそういうことを決める立場にないが、私たちが入り口に立って行う義援金を集める活動はもちろん、なんらかのチャリティのようなことをできないか、という話も球団としている。広島さんの了解も必要だと思うが、できることがあれば力になりたい」 掛布2軍監督以下、選手らも甲子園の入り口に立って義援金の呼びかけを行い、また鳴尾浜での2軍戦の観戦は無料だが、甲子園のゲームは有料になるため、それをチャリティにできないかとも、球団に対して問いかけているという。 ここまで、約500人程度のキャパしかない鳴尾浜球場では、7試合、入場制限を行うほど、掛布2軍監督が現場復帰した2軍は、ファンから大きな注目を集めている。江越大賀(23)や、陽川尚将(24)ら若手が1軍に昇格するなど、掛布2軍監督が手塩にかけて育てている若手に関心が集まっていて、2軍戦では前代未聞の1万人動員も不可能ではないというムードがある。掛布2軍監督は、その1万人プロジェクトをなんとか復興支援に役立てたいと願うのである。 この日、神戸で行われたオリックスとの試合前に掛布2軍監督は、全選手を集めた。 「熊本で大変な地震が起きた。今もたくさんの方が苦労されている。本当なら私たちが野球をやっていられる状況にはないだろう。だが、野球には、勇気を与える力がある。これまで、私たちも淡路阪神大震災を経験し、東日本大震災では多くの方が亡くなられ、今も避難生活をされている方々がたくさんいる。 その中で野球は一度として、なくならなかった。これはすごいこと。今こそ私たちは、野球ができることの幸せをかみ締め、全力でパフォーマンスを発揮しなければならない。それぞれが、今までより、さらに責任感を持ってプレーしなければならない。懸命のプレーでメッセージを発信しよう。それが今、私たちのできることだ」 その言葉は、選手、スタッフの心に染み込んだ。 過去に震災被害が起きるたびにプロスポーツのあり方が議論される。 「興行をやっている場合か」という自粛論も根強い。だが、重要なのは、それぞれがプロとして何ができるかを考え、行動に移すことだろう。「余震も続いている。被災地では、不安な時間が続いていると思う。心配することと、無事を祈るしかできません」。掛布2軍監督は、そう言葉を搾り出した。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)