ウクライナ諜報部門トップを単独取材 「戦闘は膠着状態ではない」【WBS】
ウクライナ軍で、様々な作戦を指揮してきたといわれる諜報部門のトップであるウクライナ国防省のキリロ・ブダノフ情報総局長がテレビ東京の単独インタビューに応じました。「戦闘は膠着状態ではない」などと述べたほか、ロシア寄りと見られる姿勢で物議を醸すアメリカのトランプ前大統領について、独自の認識を示しました。 14日、ウクライナ国防省が公開した映像。映っているのは、黒海に浮かぶロシア軍の大型揚陸艦です。次の瞬間、爆発が起こり、炎が立ち上りました。ウクライナ国防省は、ロシアの大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」を水上ドローンを使って撃沈したと発表しました。クリミア半島を拠点とするロシア黒海艦隊の弱体化を狙い攻勢を強めています。 一方、ロシア軍が7日に行ったウクライナの複数の都市に対するミサイル攻撃。キーウ科学研究所は12日、使用されたのが、音速の9倍、マッハ9以上で飛行する極超音速巡航ミサイル「ツィルコン」が使用されたと発表しました。 ロシアによる侵攻開始からまもなく2年。出口の見えない攻防が続く中、戦争の重要人物であるウクライナ諜報部門のトップであるブダノフ情報総局長がテレビ東京の単独取材に応じました。 ブダノフ情報総局長は「ロシアは非常に予測可能な国。行動も予測でき、われわれはしっかりした情報源を持っている」と軍事情報の収集力に自信を見せました。 ブダノフ情報総局長は侵攻前にロシアの攻撃開始の具体的な日時を示し、首都キーウを含む全面侵攻になると予見した人物です。 ただ、その情報能力を危険視されているためか、ブダノフ情報総局長に対する暗殺未遂の数は、これまで10回以上。去年11月には妻のマリアンナ・ブダノフさんも重金属による中毒症状が出る危険な目に。毒を盛られた可能性があると報じられました ブダノフ情報総局長は、最前線が膠着状態といわれることについて「それは必ずしも現状の正しい解釈ではない。ロシアもウクライナも戦略的優位性を得ることができなかった。しかし、戦争の流れを打破する両国の試みは現在も続いていて、今後も続くだろう。ウクライナはロシアよりも多くの戦果をもたらすと確信している」と膠着という表現を強く否定しました。 実は先週、戦線について膠着という表現を使ったウクライナ軍のザルジニー総司令官がゼレンスキー大統領から解任されました。 ウクライナ情勢に詳しい「防衛研究所」の兵頭慎治研究幹事は、2人の間にはこうした戦争を巡る意見の相違に加え、別の確執があったと指摘します 「政治的な確執が両者にあったのではないかという指摘もある。ザルジニー氏は今ウクライナの世論調査でゼレンスキー大統領よりも支持率が高い。ザルジニー氏の隠れた政治野心みたいなものを、ゼレンスキー大統領は警戒していた」(兵頭氏) ただ総司令官の交代は戦況を好転させるには至らないと兵頭氏は見ています。 「アメリカのウクライナへの支援がどうなるのかっていうのが、戦況を左右する最大の要素になっている。今、アメリカの支援は滞っていて、そしてトランプ政権が復活した場合、完全に停止する可能性もある」(兵頭氏)