優勝チームに名捕手あり。確実にアウトを取る配球のキャッチャーが一番よ【岡田彰布のそらそうよ】
田淵さんは四番のイメージ。若菜さんはホンマ強肩よ
田淵さんの後、クラウンライターから阪神に移籍して一緒にプレーした若菜さん。座って二塁送球をするほど肩が強かったわ。その思い出もあり今回はこの一枚を選んだ。手前のオレも若いな。/写真=BBM
テレビ画面を見て、驚いた。「エッ!!」と声が出た。まさか……という思い。どこまで苦しめる気なんや、と新型コロナウイルスを呪った。野球解説者の片岡篤史が自ら、感染したことを明かした。オレがコーチ、監督のとき、阪神でともに戦った仲間よ。大きな体で、エネルギーの塊のような片岡でも、感染してここまで苦しむのだ。あらためて怖さを覚えたし、一日でも早く回復することを祈る。梨田(梨田昌孝)さん、そして片岡、とにかく頑張れ、新型コロナに打ち勝ってくれ! と願うしかない。 先が見えないのがホンマにつらい。ここ数日、一人で考えることが多くなっている。日本はどうなっていくのか。プロ野球はどう進んでいくのか。そんなとき、携帯が鳴った。電話での会話は濃厚接触ではない。元気な声にホッとする。そう担当のS君よ。新型コロナも逃げていくようなハツラツさがS君の持ち味。「ハイ、元気にしています。今週は捕手の特集ですので、それに沿って、原稿、よろしくお願いします」と、用件だけ伝えてサッサと電話が切れた。濃厚接触やないから、もっとしゃべってもいいのに……。 ◎ 阪神ファンとして育ったオレよ。昔の捕手のこともよく覚えている。小さいころは山本哲さん、ダンプさん(辻恭介)とヒゲ辻(辻佳紀)さんという2人の辻さん。この人たちの時代が続いたあと、出現したのが田淵(田淵幸一)さんやった。当時、キャッチャーには珍しい高身長の大型捕手。でも捕手というより四番のイメージが強かった。それでも江夏(江夏豊)さん-田淵さんのバッテリーに心が躍ったことを思い出す。 田淵さんが西武に移籍してからオレは阪神に入団。だから田淵さんとはかぶっていないのだが、同じような大型のキャッチャーとして若菜(若菜嘉晴)さんとは、現役時代をともにした。若菜さんは、なんかキャッチャーというイメージには遠かったな。動きがハデで、言葉も豊富で、雑な印象をファンには持たれていたようだった。もちろん本人は、そんな気はなかっただろうし、よく研究もしていたと思う。やっぱり若菜さんといえば・・・
本文:2,296文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
週刊ベースボール