「5人の変態を集めよ」…起業家教育のプロが語る、ビジネスにおいて仲間にすべき人の「特徴」
近年注目が集まっているアントレプレナーシップ。「起業家精神」と訳され、高い創造意欲とリスクを恐れぬ姿勢を特徴とするこの考え方は、起業を志す人々のみならず、刻一刻と変化する現代社会を生きるすべてのビジネスパーソンにとって有益な道標である。 【漫画】頑張っても結果が出ない…「仕事のできない残念な人」が陥るNG習慣 本連載では、米国の起業家教育ナンバーワン大学で現在も教鞭をとる著者が思考と経験を綴った『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』(山川恭弘著)より抜粋して、ビジネスパーソンに”必携”の思考法をお届けする。 『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』連載第22回 『「ビジョン」を生み出すためには「痛みを知れ」…起業のアイデアを深めるために”必ず”すべきこと』より続く
戦隊ヒーローから学ぶ起業の心得
夢、それを実現するビジョンは、アントレプレナーに不可欠なものです。それは、起業家が進む道筋を示す羅針盤であり、事業を進める原動力でもあります。そして、人を巻き込む力にもなります。 起業は一人ではできません。いえ、起業の準備中は一人かもしれませんが、事業を展開し、拡大していくには、一人では無理です。仲間が必要になります。起業し、事業を展開していくには、さまざまな才能が必要です。たとえば、ゼロから1を生み出すことと、1を100にすることは違います。実は、日本人はそのことをずっと昔から知っています。 石ノ森章太郎氏原作のテレビ番組「秘密戦隊ゴレンジャー」の放送開始は、1975年のことです。なんと半世紀も前になります。いま、現役で働いているいわゆる「労働者世代」のほとんどは、物心ついたころから、「戦隊もの」に触れて育ってきています。 個性豊かで、それぞれ得意なことが異なるメンバーが、一つの目的に向かって力を合わせることの大切さ、一人ではなく、複数の人の力を活かすことの重要性を子どもたちに説いてくれています。
5人の変態を集めよ
多くの人が経験しているだろうスポーツも同様です。スポーツでは個人競技は少数で、多くはチームで戦います。それぞれのポジションがあり、異なる役割を担うのが普通です。 いえ、個人競技でも同じかもしれません。一人の選手を支えるスタッフがいて、仲間がいます。専門的なスタッフがいない学生スポーツでも、仲間の存在は重要です。 仲間の重要性は、実体験だけでなく、ドラマや映画、漫画などで繰り返し日本人の心に刷り込まれています。 少し上の世代なら、毛利家の逸話を聞いたことがあるでしょう。有名な戦国武将、毛利元就は、老年に達し、世代交代を意識したとき、3人の息子たちを集めて話します。有名な3本の矢のエピソードです。1本では簡単に折れる矢も、3本束ねれば折れない。兄弟で力を合わせよと教えるのです。 起業、ビジネスでも、同じです。私はよく「5人の変態を集めよ」と言っています。ここでいう変態は、一般的に知られる意味ではなく「変化を常態とする人」です。 いかに優れた才能を持つ人でも、「いまのままでいい」「チャレンジしたくない」という人は、起業に向いていません。「変化に前向きな人」、少なくとも「変化することに抵抗がない人」であることが必要です。 『自分の価値は周りで決まる...米国起業家教育のプロが教える、事業に人を呼び込む秘訣』へ続く
山川 恭弘