岡田将生の飾らない素顔「真剣さと楽しさを並行させた作品づくりをしたい」
「中学生の頃が、一番キラキラしていたと思います」 俳優・岡田将生の原点は、中学2年生の頃に受けたスカウト。バスケットボールに夢中だった岡田少年は、いったんはその話を断り、高校進学後に事務所入りしている。岡田は「まったく興味がなかった世界でしたが、今この仕事ができているのは、あの時のスカウトがあったから」と当時を振り返る。 【全ての写真】岡田将生の撮り下ろしカット 俳優としてのキャリアを磨き続けている彼が出演する最新映画は、中国で大人気の原作小説を日本映画化した『ゴールド・ボーイ』。3月8日(金) に公開を控える本作において、岡田自身が「挑戦的な作品であり、役柄だった」と語る所以を聞いた。
正解がない芝居を作り上げるおもしろさ
今作『ゴールド・ボーイ』で岡田が演じたのは、事業家の婿養子・東昇。ある日、義父母を崖から突き落とした完全犯罪が、子どもたちに目撃されてしまう。そんなスリリングな冒頭から、物語は一息つく間もなく展開していく。 「中国原作の日本映画化と聞いた時点で、ものすごくおもしろそうな企画だなと思いました。原作から話を変えつつ2時間の映画にまとめる難しさもわかっていたので、これはなかなか挑戦的な作品になるだろうな、と。僕が演じた東昇という役も、子どもたちとの絡みも含めておもしろくなるだろうなと、直感的に思いました」 東昇は、なぜ犯罪を犯したのか。彼は、どういう人物なのか。細やかな背景は明かされないまま、目撃者である3人の子どもたちとのやりとりが進む。 「東昇に共感できる点はないんですけど」と枕詞を置きながら、岡田が捉えた東昇の人物像とは。 「僕自身、いろいろな怒りを抱えていた時期があって。決して彼に共感はできないけれど、この役をとおして感情を昇華できるのかな、と考えながら脚本を読んでいました。みなさんもそれぞれ、日々のなかで生まれる感情を抱えていますよね。それが東昇という人物にもある。何に対してどんな行動を起こすのか、なぜそれが殺人に繋がってしまうのか……。そういったことを監督と話し合いながら、現場でお芝居をつくっていく作業がとてもおもしろかった。そこに、正解はないんです」 表向きは人当たりの良い好青年、しかし、隠された裏の顔は冷酷な殺人鬼。否応なく裏表を表現しなければならない役柄と、子どもたちとの共演シーンが重なる。岡田が感じた「おもしろさ」には、観客側に与えられる「余白」も含まれる。 「東昇が子どもたちに手を下せる瞬間は、あるはずなんです。脚本を読みながら『なぜ彼は子どもたちを手にかけないのか』と考えられる余白があるな、と感じました。彼にまつわる背景描写が一切ない。それは、考えるに値するスペースがある、ということ。正解を決めつけずに可能性を探っていく時間は、とても楽しかったです」