ーー最終的に決めたのはどんな理由からでしょうか。 伊野尾　決めた理由はいろいろありますよ。「マネージャーさんに曲数少ないよって言われて……」みたいな話は、ネタとして面白いからライブで話したりもしたけど、本質的な理由はもちろん他にあって。一番大きいのは、応援してくださっているファンのみなさんのことを考えてってところですね。 このお話をいただいたのは昨年ですが、その頃は本当にいろいろなことが起こっていて、自分たちも来年はどうなっているのかがまったくわからなくなっていた状況で。僕自身も不安を感じたり、いろいろと考えることがある中で思ったのは、ファンのみなさんは、僕同様、あるいは僕以上に不安を抱えていたり、悩んでいるだろうなということ。 そんなファンの方たちに会える場所っていうのは絶対にあったほうがいいし、せっかくこうやってお話をいただいたのなら、「これはやらなきゃ！」って思ったことが一番大きいですね。もちろんひとつの理由で決めるわけじゃないから、他にもいろいろ理由はあるけどね。 ーー悩みながらの決断だったんですね。 伊野尾　そうね。大きな不安のひとつは、とにかく僕がミュージカルというものを知らなくて、メンバーが出演した作品くらいしか観たことがなかったこと。そんなところも不安だったから、やるのはいいけど、とにかく歌でもなんでも、練習は早くに始めさせてほしいっていうのはお願いしたの。ある意味、最終決定するまでの猶予は2、3カ月くらい。とにかくそこでなんとか準備したいと思っていました。

ミュージカル経験のあるメンバーがニヤニヤしながら見守ってくれる

初のミュージカルに戸惑いながらも、挑戦の決意を固めた伊野尾さん。ミュージカル経験のあるメンバーの薮宏太さん、髙木雄也さんの存在は大きな支えになったよう。 伊野尾　そうそう。ふたりは僕のミュージカルが決まったときから、なんだかやたらと嬉しそうで、気持ち悪いなと思っていたんですよ（笑）。僕たちは普段、個人の仕事としてドラマが決まったとか、舞台が決まったとかって特に報告し合わないんです。 でも、今回に関しては情報解禁になったとき、まず薮がずっとニコニコして。さらに作品のフライヤーを確認して、「あ！　岸（祐二）さん出るんだぁ」「おっ！　振り付け師さんも知ってるよ？」って、とにかくニコニコニコニコしてきて。（満面の笑みを見せながら）もう、気持ち悪かったですね（笑）！ 髙木のほうは、メンバー全員のスケジュール表に、僕が歌のレッスンみたいなものを入れてるのをめざとく見つけて、「これどうしたの、何かあんの？」って聞いてきて。やっぱり髙木は気づくタイプなんだよね（笑）！　細かいところに気づく。そのあたりに人間が出るのよね。気づかない人もいるし、気づいても気づかないフリをする人もいる。いろんなタイプがいて面白いんだけどさ。 で、だから髙木には「実はミュージカルやることになってね」って話をしたの。そうしたら、「そうなんだ、めっちゃいいじゃん！」って言ってくれて。ただその後、「曲数も少ないからって言われたんだよね」「そうなんだ、見せて見せて」ってなったから、曲の香盤表みたいなやつを見せたんだけど、「え、めちゃくちゃ多いじゃん！　オレ、初めて出たとき2曲だったよ。それでもヒーヒー言って、落ち込んで、大変な思いしたよ」って。「えぇ！　ミュージカル詐欺じゃん！！」って。ちょっとそんなやりとりはありましたね（笑）。 相談したっていうほどではないけど、「本読み」についても聞いたかな。ドラマだと本読みは一番最初なんだけど、ミュージカルは先に歌の稽古があって、その中でセリフがこんな感じで入ってくるよ、っていう確認があって、その後にようやく本読みがあるんだけど、それがおとといくらいで。 ただ、僕はミュージカルの本読みの知識がほぼゼロ！　唯一の知識は、YouTubeにある『グレイテスト・ショーマン』の動画だけ（笑）。あれを見るとね、途中で椅子の上に立ち上がったりしてるのよ。だから、薮とか髙木にも、「やっぱり椅子に立ち上がって歌ったほうがいいの？」って聞いたりして。 そしたら薮は、「自由だけど、オレは結構座ったままやってるよ」って。そしたら横から知念（侑李）が、「椅子に立ってやったほうがいいよ」って言ってきた。だけど「いや、お前やったことないだろ」って（笑）。 でも最終的におとといは……椅子の上には立てなかった。ただ、立っては歌いました。 ーー（笑）。有岡さんとは何かお話されましたか。 伊野尾　大ちゃんは……「誰が出るのぉ？」とか気にかけてはくれるけど、なにせあの人はミュージカルやってないですからね（笑）。ミュージカルの知識がないから。もちろんいろいろ話してはいるんだけど、何話してるんだろう、すぐには出てこないなぁ。 でも、それこそ喉のこととか、ケア関係はメンバーに聞いて教えてもらったほうがいいなと思っています。一応今は、部屋がジトジトするくらい加湿器を炊いています。