直らないパチンコ狂い、2400円の自治会費を分割払い…「子供4人をバケツにコンクリ詰め」して20年以上隠し続けた「女の犯行理由」(2017年の事件)
(もし、このまま自分が死んだら、いずれ遺体が見つかって、そのときにコウは何も説明できないだろう。やっぱり、このまま放置しておくことはできない…)
「お母さん、ボク、これからどうなるの?」
由美子は警察に自首する決意を固め、すでに18歳になっていたコウを呼んだ。 「ずっと黙っていたけれど…、私は警察に行かなければならない理由がある」 「えっ、どういうこと?」 「この家には私が産み落とした4人の子供たちの遺体がある。ずっと言えなくてごめんね…」 そのときのコウの衝撃たるや、想像に難くない。 「お母さん、ボク、これからどうなるの?」 「分からない…」 「いつ帰ってくるの?」 「それは…、本当に分からない。17年か、18年は帰れないかもしれない。だけど、アンタは頑張って生きていくんだよ」 こうして由美子は近所の交番を訪れたのだ。 警察は当時の交際相手だったA氏を捜しあて、事情を聴いた。A氏は事件の経緯を聞いて仰天した。 「出産も遺棄も全く知らなかった。私の子だったら、相談してくれれば何とかしたのに…」 当局は4人の子供たちの死因も調べたが、結局、「殺人罪までは立証できない」として、由美子は死体遺棄罪のみで起訴された。 「4人のことは1日たりとも忘れたことがない。手放すことなんて、考えたこともなかった。いつも一緒に生活しているつもりで、4人には名前も付けていた。生年月日も覚えている。いくら謝っても謝り切れないが、本当に申し訳ないことをした…」
由美子は号泣して謝罪。事件後、市は4人の遺体を火葬し、由美子は「必ず引き取りに行く」と約束した。
犯人も知らなかった「新事実」
だが、警察の捜査で由美子も知らなかった新事実も明らかになった。 乳児の存在を誰にも知らせず、自己の支配下に置き続けた場合、その行為は「葬送義務違反」という遺棄行為が継続しているとみなされる。つまり、死体遺棄の時効は成立しない。今回の事件も墓場まで持っていった方がよかったのかもしれないが、由美子にはせめてもの良心があったことが救いだろう。
諸岡 宏樹/Webオリジナル(外部転載)