意味のない「がん治療」で手遅れになるのが一番コワイ…!いま、いちばん確かな「最良の治療法」を受けるコツを公開しよう
昨今、がんにかかる人は増加しているが、死亡率は年々下がり続けているのをご存じだろうかーー。「がん治療」の進化が著しいことが大きな要因の一つだ。一方で、患者側の最新医療に関する知識がアップデートされていないばかりに、手遅れになってしまうケースも残念ながら少なくないという。 【画像】がんの進行スピードや予後、効く薬の違いまでわかる…専門医の注目するところ がん治療で後悔しないために、私たちが身につけておくべき知識とは何か。国立がん研究センターが、現時点で最も確かな情報をベースに作成した『「がん」はどうやって治すのか』から紹介する。今回は、「最良の治療」を受けるにはどうすれば良いか…そのポイントをお届けしよう。 *本記事は国立がん研究センター編『「がん」はどうやって治すのか』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。
検診を受けるべき「5つのがん」
がんの罹患数は年々増加していますが、がんの治療成績は向上しています。その大きな要因は、医療技術の進歩に伴う早期がんの発見と正確ながん診断によるものと考えられます。がんは、広がりが少なく、リンパ節や遠くの臓器に飛び火していない(転移していない)状態で治療することで治癒する可能性が高くなります。いかに検診で小さながん(早期がん)を発見するかが、治療成績につながるのです。 たとえば日本では、厚生労働省が、胃がん・肺がん・大腸がん・乳がん・子宮頸がんについて、がん検診を受けることを推奨しているのをご存じでしょうか。なぜかというと、この5つのがんは、かかる患者さんの割合(罹患率)や死亡率が高い一方、がん検診を行うことで集団の死亡率を下げる効果があることが、統計情報から確認されているからです。
生存率は「治りやすさ」の目安になる
その統計情報を集めているのは「全国がん登録」制度です。この制度により、「毎年どのくらいの人が新たにがんと診断されているのか」という、がんの「罹患数」を正しく知ることができ、進行度や生存率など、がんにまつわるさまざまな情報が得られます。生存率は、治りやすさの目安にもなるため、医師と患者さんが治療方針を考えるうえで重要な情報の一つになるのです。 また、発見されたがんに転移はあるか、どれくらい広がっているかを正確に診断することが、適切な治療法の選択につながります。医療診断機器の診断能力向上には目覚ましいものがあり、どのような検査を行うことが重要であるかを知っていただきたいと思います。それと同時に、現代医療をもってしても、がんを発見できる診断能力には限界があることを認識しておくことも必要です。