「1ヵ月後に退去して」大家から突然の退去勧告。立退料にも「そんな金が支払えるか!」と応じられず…。退去しなければならないのか?【弁護士が解説】
長年慣れ親しんだ住まい。突然大家から「退去してほしい」と言われたら、どうすれば良いか大変戸惑うことでしょう。急いで次の住まいを探さなければならない。仕事をしながらだと、精神的にも肉体的にも辛くなります。急な出費も増えるため、家計が厳しくなることもあるでしょう。そこで、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、賃貸物件の退去宣言や立退料について、里村格弁護士に解説していただきました。 【早見表】3,000万円30年返済の住宅ローン…金利差による利息分
立退料なんて支払うか……!
相談者のDTPさんは、20年以上、とある賃貸アパートに住んでいました。そんな中先日、突然大家から「1ヵ月後に退去してほしい」と言われたそうです。DTPさんは突然の通告に戸惑いながらも、急いでアパート探しを始めました。 アパートを探していたものの、やはり何か不審に思い、近くの弁護士に相談することに。するとこのような場合、「大家は家賃の6ヵ月分を支払うのが相場だ」と言われました。 大家に家賃を支払ってほしいと伝えたところ、「今まで安い家賃でやってきたのに、このうえそんな金が支払えるか!」と言われ、全く応じませんでした。 そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の3点について相談しました。 (1)そもそも突然の退去宣告に応じなければならないのでしょうか。 (2)大家は立退料を支払ってくれるのでしょうか。 (3)立退料を支払ってくれない場合、どのような処置を取るべきでしょうか。
退去宣告に応じる義務は?
1.大家の退去宣告に応じる義務があるのか 相談者のDTPさんは、長年住んでいた賃貸アパートを、大家の一方的な意向で退去しなければならないのでしょうか。 一般的な賃貸借契約は、契約日から期間を〇年とする、と定められ、この期間の満了までに双方から異議が申し出られない場合は契約を更新する、と定められています。DTPさんは、長年賃借されているとのことですから、このような定めによって、賃貸借契約が更新されて賃貸借契約は期間の定めのない場合が多いと言えます。厳密には、賃貸借契約の定めを確認しなければなりませんが、以下ではこの前提で回答していきます。 そしてこの場合、借地借家法28条によって、賃貸人つまり大家が賃貸借契約の解約を主張する場合には、正当の事由が必要となります。つまり、無条件で、大家の一方的な意向で退去をしなければならないということではなく、大家に正当の事由がなければならないとして、法律上、大家側に一定のハードルを課していると言えます。そして、その正当の事由があると言えない以上、DTPさんは大家の退去宣告に応じる義務はないと言えます。
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