大河ドラマ『光る君へ』で“主役を食う”活躍をみせた女優は?(3)圧倒的な存在感…役と共に成長を遂げたのは?
吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)がいよいよ最終回を迎える。平安時代の身分を超えた恋愛を描き、これまでの大河ドラマとは一線を画した内容で支持を集めた。今回は、主演の吉高由里子に負けじとも劣らない芝居を見せた女優を5人セレクトしてご紹介する。第3回。(文・西田梨紗)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
見上愛(藤原彰子)
見上愛は道長の娘であり、一条天皇の二人目の后である彰子を演じた。当初の彰子は陰鬱な雰囲気をただよわせ、発する言葉といえば「仰せのままに」くらい。しかし、まひろとの出会いをきっかけに彼女は迷いながらも成長していき、立派な国母となった。 見上は彰子の心の成長を細やかに表現していた。第35回「中宮の涙」以降の彰子は表情が明るく、精悍(せいかん)な顔つきになり、発言内容や振る舞いも少しずつ変わっていく。最終的に、彰子は凛々しく、堂々とした風格のある中宮に大変身した。 2019年にドラマデビューを果たした見上は芸歴こそ長くはないものの、その演技は視聴者をうならせるものであるし、何より大人数の中に紛れていても一際目を引く圧倒的な存在感がある。また、役を自分と一体化させる力にも長けており、内向的な性格でありながら徐々に堂々とした振る舞いができるようになっていく彰子というキャラクターの変化は、見上愛という女優の成長と重なった。 彰子の最大の見せ場として、第35回「中宮の涙」における一条天皇に「お上!」「お慕いしております!」と自らの思いを伝えるシーンを挙げたい。彰子の緊張感が解け、心にそっと秘めていた思いがあふれる大迫力のシーンであった。彰子の頬を伝う大粒の涙は、これまで彼女が秘めていた思いが流れ落ちるサマを見事に表現していた。 また、この放送回では一条天皇と彰子の初ラブシーンも描かれていた。年上の一条天皇に優しく抱きしめられ、安心したような表情の彰子の姿にホッとした視聴者は多いだろう。 (文・西田梨紗)
西田梨紗