79歳田辺靖雄と78歳九重佑三子が奈良・薬師寺から歌の力で「あした」届ける
<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム> おしどり夫婦で知られる歌手の田辺靖雄(79)と九重佑三子(78)が12月9日に、奈良県奈良市にある法相宗大本山・薬師寺の食堂(じきどう)で「薬師寺ライブ」を開催する。 食堂とは、僧侶が斎食(さいじき=定められた時間にとる僧侶の食事)をするための建物。 8世紀前半の創建当時は約300人が一堂に会する規模だったという。何度か焼失し、現在の建物は17年(平29)に3度目の再建がなされた。 建物の外観は奈良時代を思わせる作りで、堂内には食堂ご本尊「阿弥陀(あみだ)三尊浄土図」や、全長50メートルにわたる壁画「仏教伝来の道と薬師寺」が描かれている。 同寺の大谷徹奘(てつじょう)執事長は「歌の力」を重んじている。薬師如来が人々の苦しみを癒やし、健康と平和をもたらすように、同寺は「歌の力」も積極的に発信している。 最近では9月の観月会で、シャンソン歌手・鬼無里まり(志穂美悦子)が、玄奘三藏院伽藍(がらん)の特設ステージで奉納ライブを行っている。 田辺夫妻は、全国各地に人生の活力である「あした」を届けるコンサート活動を行っている。「旅するステージ」と題したコンサートで、夫婦のキャリアをすべて注いで、同世代を中心にエールを届けに各地に出向いている。 これ以外にも、総合葬儀事業社「メモリアルアートの大野屋」の主催で、世代を超えて分かり合う「サンクスコンサート」も開催している。 そんな夫妻のライブが「歌の力」を発信する薬師寺で実現することになった。 田辺は「同世代の人はいい年頃になった。我々が生きてきた時代は平和だったが、まだまだ明日があるということを伝えたい」と意気込んでいる。九重は「尊い場所で歌をささげることができるのは、この上ない幸せ」と話している。 ライブは大谷執事長の「歌は時をこえてゆく」という法話会の後に、午後2時からスタートする。 60年代のNHKの人気番組「夢であいましょう」から生まれた「こんにちは赤ちゃん」「遠くへ行きたい」「上を向いて歩こう」などのヒットメドレー。「ダイアナ」「ルイジアナ・ママ」「悲しき街角」など60年代のオールディーズメドレー。さらには石原裕次郎メドレー、童謡メドレーなど、懐かしい曲がズラリと並ぶ予定だ。 最後は2人の活動のテーマソングでもある「明日がまだある」を披露する。子どもたちの時代だが、我々にもまだ明日がある、夢の続きを探しに行こう、と歌う。夫婦、家族、そして若い世代には教訓となるハートフルなメッセージソングである。 田辺は16歳で芸能界入りし、カバー曲「ヘイ・ポーラ」や「二人の星を探そうよ」などが大ヒット。現在、日本歌手協会の8代目会長を務める。 九重はTBS系の特撮テレビドラマ「コメットさん」(67年)で一躍、国民的人気者となった。同年の第18回NHK紅白歌合戦で、当時史上最年少の21歳で紅組司会者に起用された。 73年に結婚し、九重は一時期家庭に入ったが、86年から夫婦デュオの活動を始めた。以来、40年近く二人三脚で歌っている。田辺は「長い間、夫婦デュオで活動しているので、ギネス申請も考えてみたいですね」と笑みを浮かべた。【笹森文彦】