転職してから仕事が楽しくて仕方ありません。持ち帰りの自主的なサービス残業なら会社に迷惑はかかりませんよね?
サービス残業が働き方改革において問題視される一方、働く会社員側が自主的にサービス残業を行うケースもあります。一見、自ら自宅に仕事を持ち帰っているだけなら、誰にも迷惑をかけないのではないかと思うかもしれません。 しかし、自主的に行ったサービス残業であっても、会社に迷惑をかけてしまうことがあるため注意する必要があります。
そもそもサービス残業とは? サービス残業として扱われる具体例
所定の労働時間内に業務が終わらず、残業をさせる場合、企業は割増賃金を支払う必要があります。サービス残業は適切な割増賃金を支払うことなく、時間外労働をしている状態です。具体例としては、以下の状況があります。 ◆残業時間を短く申告する 残業時間を短く申告するのは、サービス残業として問題になることが多いケースです。本来、勤務時間は1分単位で計算されるべきものですが、端数を切り捨てて申告させていると、積み重なれば長時間の労働時間になることもあります。 また、タイムカードを押したあとにも業務をさせ、打刻後の勤務時間は適切な賃金が支払われていないケースなども該当します。 ◆自宅に持ち帰って仕事をする 自宅に持ち帰った分が勤務時間として把握されていないのも、サービス残業で多い事例です。上司の目も届かず、サービス残業が気づきにくいケースでしょう。 ◆始業時間前に仕事をする 始業時間前に業務を行うのもサービス残業に該当します。始業前から頑張っているとよい評価につながりがちですが、実際には正規の勤務時間外に行っているため、自主的なサービス残業になり得ます。 ◆リモートワークでの残業を申告しない 働き方改革やコロナ禍で、リモートワークを取り入れる企業が増えました。こちらも持ち帰りのサービス残業と同様に、仕事をしているところが把握しにくいため、残業分が勤務時間として申告されないケースがあります。
自宅に仕事を持ち帰って自主的なサービス残業をすることのリスク
自分でよかれと思って自宅に仕事を持ち帰っていると、企業側にとってはリスクになるケースがあります。 ◆サービス残業をさせた企業側が罰則を受ける可能性がある 労働基準法37条によると、企業が社員に時間外労働をさせた場合、「通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」と規定されています。 従わなければ懲役6ヶ月以下、または30万円以下の罰金が科される可能性もあるのです。 ◆情報漏えいのリスクがある 仕事を持ち帰るということは、企業の大事な情報も社外へ持ち出すことになります。どこかで書類などを紛失したり、データを破損したりする可能性がゼロではありません。 セキュリティー面においても、社外秘の情報が外に漏れるリスクもあるため、なにかあれば本人はもちろん、上司も含めて責任を問われるリスクがあります。 ◆本人や周囲の社員が正当に評価されない 本来の勤務時間内で出せた結果なのか、より長時間をかけてできたものなのかが分からなければ、正しい評価が出されない可能性があります。 サービス残業も含めて長時間かけてできた仕事であっても、上司がサービス残業を把握していなければ、勤務時間内で出せた結果だと思うでしょう。そうなると過大評価を受け、次は能力以上の業務を割り振られることも考えられます。 また、サービス残業をしていない周囲の社員が正当な評価を受けられず、迷惑をかけてしまうかもしれません。
サービス残業は自分がよくても企業に迷惑をかける可能性があるため注意しましょう!
サービス残業に対しては労働基準法でも規定されており、守られていなければ企業は罰則を受けることもあります。そのため、勝手に仕事を持ち帰ってサービス残業をしていると、会社や上司、同僚にも迷惑をかける可能性があるため注意しなければなりません。 いくら仕事が楽しいからといっても、勝手な行いはNGです。働くルールをしっかりわきまえたうえで、頑張って仕事をしてください。 出典 e-Gov法令検索 昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部