「いずれは必ず地上波に復帰する」 民放バラエティ制作者が断言する「松本人志」の今後 まずはYouTubeやABEMAで“地ならし”か
復帰は可能だろうが
ダウンタウンの松本人志(61)が自身の性加害疑惑を報じた「週刊文春」を相手に起こした訴訟を取り下げてから2週間以上が過ぎた。地上波テレビへの復帰はどうなるのか。民放バラエティ制作者に聞いた【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】 【写真】実名顔出し…松本人志からの被害を告発した元女性タレント、実際の姿 ***
松本は「週刊文春」に対する訴えを8日に取り下げたが、性加害疑惑の真偽については沈黙を続けている。一方で女性側の1人が「(文春の)記事には一切誤りがない」(朝日新聞9日付朝刊)と証言していることもあり、問題が解決したとは言いがたい。 このため、松本の復帰についての世論は割れている。待望論も多いが、慎重論や反対論も根強い。地上波テレビへの復帰は可能なのか、可能であるなら、いつごろになるのか。在京キー局のバラエティ番組制作者2人に聞いた。 まず、2人とも「いずれは必ず復帰する」と答えた。その理由の1つは民放各社が松本の所属する吉本興業の大株主であるためだ。 フジ・メディア・ホールディングスなど在京キー局の持ち株会社から、大阪の朝日放送グループホールディングスなど在阪準キー局の持ち株会社まで、揃って吉本株を大量に保有している。吉本の収益が下がると民放も損をするという不思議な構図になっている。松本はその吉本のエースなのだから、ほかのタレントより有利な立場にある。こんな芸能プロダクションはほかに存在しない。 誰でも株式が買える上場企業だった吉本は2009年に非上場化し、株主がほぼ固定化された。創業家が大崎洋社長(当時)ら経営陣に口を挟むことを防ぐことなどが目的だった。その際、民放各局が株主になった。 各局から出資を募ったのは元ソニー会長の故・出井伸之氏が社長を務めていた投資会社。出井氏は民放各局に強い影響力を持っていた。 当時はほとんど報じられなかったが、「本当は特定の芸能プロへの出資は嫌だった」と明かす在京キー局の元上級幹部もいた。しかし、出井氏が間に入っていた上、吉本のタレントたちから一斉に出演を拒否されたら困ると考え、株式を所有した。 非上場化によって現在の強い吉本をつくり上げた大崎氏は同社の中興の祖。ダウンタウンの育ての親でもある。2023年、会長職を最後に吉本から離れ、現在は「EXPO2025-大阪・関西万博」の催事検討会議共同座長を務めているものの、「今も吉本に強い影響力がある」(バラエティ番組制作者A氏)。松本の地上波テレビ復帰にも一役買うというのがもっぱらの見方だ。 一方でA氏は「地上波への復帰はかなり先になる。早くても来年春以降だろう」と見る。バラエティ制作者B氏も「当面、復帰は難しい」と読む。